夜開かれた報告集会には支援者ら50人が参加した。
支援団体「ノー!ハプサ」の山本直好さんが基調報告。「従軍慰安婦問題で日本政府の公式謝罪を求める米下院決議採択が採
択された。戦後補償解決は国際社会の要求だ。11月には、決議を推進した在米韓国人・中国人らが米国内のキャンペーン、国連本部行動に取り組む。これと連
帯した運動も準備していく。10月には沖縄で日本人遺族によるノー・ハプサ訴訟が始まる。靖国問題も国際的な課題に押し上げていきたい」と今後の方針を提
起した。
靖国神社は国家機関
弁護団4人が裁判に臨む決意をそれぞれ述べた。大口昭彦弁護士は「お祭りでみこしを担ぐ日本人の感性からいって、神社を
訴えるのは難しいかと当初は迷った。憲法20条(信教の自由、政教分離原則)との整合性もあった。しかし、韓国や台湾の被害者は靖国に対して怒っている。
靖国は国家機関そのものであり宗教の名に値しない。提訴の対象外だと逃げる神社の責任をはっきりさせたい」。内田雅敏弁護士は、靖国を訪れた台湾の留学生
の感想を読み上げた。「ヨーロッパで言えばヒトラーを祀っているようなもの。アジアから見れば靖国は悪魔を祀った場所。死ねば罪はなくなるという考え方は
通用しない」。韓国や台湾の思いを受けて弁護に立つ決意を述べた。
関西からかけつけた「『靖国合祀イヤです訴訟』と共に闘う会」の菱木政晴さんが連帯あいさつに立った。「韓国の皆さんが
靖国神社を相手に訴訟するのは画期的だ。靖国にはA級戦犯だけを祀るのがふさわしい。私たちの訴訟では台湾人遺族と日本人遺族が共同で合祀取り下げを求め
ている。裁判所は最高裁判例(88年、自衛官合祀訴訟で原告が逆転敗訴した)を持ち出すだろうが、打ち破っていこう」
歴史的裁判の開始
若者の発言が大きな拍手を受けた。10代の平和運動グループ「APLO」のFさんは「3月のスタデイ・ツアーで韓国の高
校生と交流し、靖国について学習してきた。神社へ行って『韓国の遺族が反対しても合祀するのですか』『遺族が望めば合祀は取り下げられるのですか』などと
質問した。しかし『高校生の考えつくような質問ではない』と全く答えてくれなかった」と活動を紹介。参加者からの「中学生にも広げていって」との声にうな
ずいた。
韓国から来日したイ・ソクテ弁護士は「この訴訟には日韓の間に残っている課題を克服する意義がある。日本の弁護団、市民
の皆さんが韓国人遺族の気持ちを受け止めて歴史的な裁判を取り組んでくださることに感謝する」と激励の言葉を寄せた。
最後に、この日の陳述を終えた原告から思いと支援者への謝意(イ・ヒジャさんは別掲)。「小学校1年で解放を迎えたが、
父の死亡通知は長いこと受け取れなかった。被害者のために多くの皆さんが協力してくれることに感謝の気持ちでいっぱいだ」(ヨ・ミョンファンさん)「勝手
に祀られた父の気持ちを何とかしてあげたい。1円でも補償が受けられれば天井に祀るつもりだ。高校生の活動と中学生にも広げるという言葉に希望を持つこと
ができた」(ユン・オクチョンさん)と語った。
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