2007年09月28日発行1003号

【「どんどん外に出て訴えていく」 東京・府中平和まつりで支援呼びかけ 中島さんの処分撤回へ】

 9月16日、東京・府中市内で開かれた第20回府中平和まつり。反戦平和や人権、原発問題などに取り組むさまざまな団体に混じって、府中第二小学校教員で「君が代」処分撤回を闘う中島暁さんも市民グループ「府中『君が代』処分を考える会」とともにコーナーを設け、支援を呼びかけた。

 中島さんは、05年の卒業式で「君が代」斉唱時に不起立だったことを理由に戒告処分を受けた。これに対し、人事委員会に処分取り消しを申し立てたが、2月に審理が1回行われただけで、4月、突然打ち切りを通告された。

 そこで、6月13日、東京都教育委員会を相手取り処分取り消しを求めて東京地裁に提訴。第1回口頭弁論は8月6日に開かれ、中島さんは本人陳述で不当性を訴えた。

 この法廷には「考える会」の代表ら会員が何人も傍聴に駆けつけた。「40の傍聴席が埋まるか心配だったが、満杯になり、よっしゃと思った」と中島さんは振り返る。

裁判スタートを報告

 平和まつりへの参加は3回目だが、裁判が始まってからは初めて。裁判スタートの報告、公正判決を求める署名の呼びかけ、そして資金集めが今回の大きな目的だ。

 中島さんのコーナーには、「『君が代』の強制や処分はやめて! 学校に優劣を付ける学力テストはやめて!」のパネル。その前に広げられたシートには、資金集めにと取り組んだバザーの品々が並べられた。会のメンバーが中心となって周りに呼びかけ、集めたものだ。

 会員の一人、佐藤真理子さんが声を弾ませる。「ものすごい数が集まった。裁判には30万円必要というし、それをめざしている。11月には共同作業所のバザーがあり、焼きそばを出す予定。目標は5万円ぐらいかな」

 お客への対応に走り回る藤森洋子さんも会のメンバー。中島さんと同じ小学校教員で府中市民だ。安倍退陣に話が及び、「改悪した教育基本法を撤回してから辞めてほしかった。元通りにしてほしい。私たちは憲法と教育基本法を守るということで教員になった。行政は指導主事を増やしても、教員は減らす一方だ」と怒りが口をついて出る。

地域とのつながり深まる

 裁判については「大勢の市民に傍聴に来てほしい。労働者と市民が一緒になって闘っていきたい」と、地域への広がりに期待を込めた。

 地域とのつながりは一歩一歩深まっている。佐藤さんは「9月の定例会に、保護者が参加してくれた。少しずつでも増えてほしい」と喜ぶ。

 会では、市教育委員会に対しても申し入れや手紙の送付などを続けている。ステージの司会で忙しい納村万智栄さんは「市教委の中からも『都教委はひどすぎる』という声が聞こえてきている」と手応えを話し、「私たちの主張が正論とわかっていても、賛同を得られるものにならなければいけない。言葉に力がこもるようにアピールも工夫し、目新しいものを探りながらやっていきたい」と、市民への働きかけに意欲を示した。

 この日のバザーの売り上げは約3万円。資金集めの目的は達成した。

 中島さんは「地域で教育への関心を強めるために頑張れば、おのずと裁判に反映される。関心を持つ層をどう増やすかにかかっている。今日のまつりのように、どんどん外に出て訴えていく」と抱負を膨らませる。

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