2007年09月28日発行1003号

【ワクワクして署名に立つ札幌市民】

 北海道で初めて取り組まれている札幌市の無防備条例制定運動。さまざまな人がこの運動に加わってきている。

 「私が署名を集めている場面がテレビや新聞に出てしまいました」と照れくさそうに話すのは、厚別区に住む藤田春美(かすみ)さん。まさか、そこまで目立つようになろうとは思わなかったという。

 直接請求署名の話を聞いたのは6月のこと。「政府が数の力でどんどん法律を変えていくでしょ。『日の丸』『君が代』に従わないと処分される話も聞いて、怖い社会になったと不安に思っていました。何かできないか」。藤田さんは8月には“憲法9条は世界の宝”の意見広告運動に加わった。沈黙するのは今の事態を認めることになる、と。

 参加している手話サークルの場でも署名の話を切り出した。15人みんなが快く協力してくれた。「以前の私を知っている人は、人前で主張するタイプではなかったので、驚いていますよ。山内先生の講演を聞いて、このような行動することの大切さがよく分かった」

 藤田さんは街頭署名に立った。「ワクワクドキドキしながらやっています。だって、全く知らない人に、生年月日やハンコを求めるわけでしょ。戦争体験者が『今の社会は気にかかる』と話され、若い子も素直に応じてくれる。同じ思いだな、とつながりを感じます」

 藤田さんは平和への新たな出会い、広がりを求めて連日街頭に立つという。

「私の思いにぴったり」

 南区に住む渡辺貢一さん(70)は、チラシを見てこの運動を知った。「私の思いにぴったりの運動だ」。渡辺さんは「憲法を守ろうというより、どうやってそれを実現できるか、いつも考えていたところだ」という。

 現役の頃は労働組合の役員を務めていた。「以前は組合もいろいろやったけど、今はなかなか動かないでしょ。どうしても組合員だけの利益を考えてしまうが、市民運動ってひとつの目的にいろんな人が手を携えて集まってくる。いいですね」

 署名開始前には、地域の各家を回って2000枚のチラシを配布した。署名初日は南区役所前で35筆、翌日は真駒内自衛隊駐屯地付近の澄川駅頭で33筆を獲得。「『新聞を見た』『チラシを見た』という人はよくやってくれる。チラシだけを受け取った人が1時間後に戻ってきて署名してくれた。いつでもここに来れば署名をやっているという宣伝、スポットが必要だ。そのためにもっと人がほしい」と語る。

 渡辺さんは難病を抱える身ながら、連日街頭に立つ決意だ。約200人の友人に協力を要請する直筆の手紙を出すという。「無防備地域運動が私の人生にとって最後の社会活動の機会になるでしょう。日本、世界を変える運動になればいい」と目を輝かせた。

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