2016年08月19・26日発行 1441号

【原発賠償訴訟の勝利にむけて 関東・関西の原告・支援団体が交流】

 原発賠償訴訟の交流会には、延べ34人が参加。最初に、かながわ原告団の村田弘団長が、原発被害者団体連絡会(ひだんれん)・原発被害者訴訟原告団全国連絡会(原訴連)の結成の経過と関東圏での訴訟の現状について報告。群馬訴訟は10月31日結審、千葉訴訟も来年1月31日結審が決まった。春から判決が出始めるが、村田さんは群馬訴訟で「負ける判決が出ることはないという感触を持っている」と語った。

 京都訴訟の原告は、無償住宅打ち切りで原告がバラバラになることに危機感を持ち自治体への請願行動に取り組んでおり、国連人権理事会に救済を申し立てることも考えていると報告。

日常との落差を見せる

 各現状報告の中で、現地調査をめぐるやりとりがあった。千葉の支援団体の「原告本人尋問の前に現地調査を要求した。裁判官が現地の状況を知らないと、原告の言うことを理解してもらえない」との発言に対し、京都の支援団体から「関西では、原告のほとんどが区域外避難者で、区域外では普通に生活している。どういうところを見せるべきか」と問題提起があった。

 村田さんが紹介した福島の生業(なりわい)訴訟の例が参考になった。生業訴訟では、2回実施した現地調査の1回は福島県中通り。何を見せるかを議論して、隣り合う日常と非日常の落差を見てもらおうとなり、保育園と果樹園に決めたという。

大きい支援団体の役割

 「原告が裁判に出てこない。意見交換の場も設定できない」(東京)、「原告は判決後のことまで考える余裕がないのが実情」(かながわ)、「陳述するのは避難者だけ。福島地裁なのに現地の人は少ない」(子ども脱被ばく)など、原告団の厳しい実態も浮き彫りになった。

 同時に「支援する会との二人三脚でいろいろなことができている」(かながわ)と語られたように、原告自身の団結が難しいからこそ、援助する支援団体の役割は大きい。

 裁判で、空間線量については反論する国が土壌汚染では何も言及(反論)しなかったとの指摘もあり、土壌汚染の調査の必要性が確認された。

 最近、低線量被ばくによる健康不安が広がり、関東からの避難者が増えている現状も共通認識となった。

【採択された決議要旨】

(1)原告の団結を強化し支援する会・サポーターの会員を拡大しよう(2)争点である、低線量被ばくの問題を社会的に知らせようB先行する千葉、群馬、京都、生業訴訟の裁判傍聴・公正判決署名を広げ、現地集会にかけつけよう。

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