2016年09月23日発行 1445号

【1445号主張 朝鮮の核実験糾弾 基地・軍拡で対抗許すな】

戦争挑発合戦やめろ

 朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)政府は9月9日、5回目の核実験を行った。ミサイル核弾頭の保有も危惧され、軍事的脅威をつくり出している。平和に逆行する暴挙であり、好戦勢力に戦争挑発の絶好の口実を与えるこの核実験を断固糾弾する。

 朝鮮は、軍事挑発である米韓合同軍事演習や韓国へのTHAAD(サード、高高度ミサイル迎撃システム)配備に対する「防衛」を核保有の口実とするが、日米韓との危険な挑発合戦エスカレートは決して許されない。

 日米両政府は、国連安全保障理事会で朝鮮制裁強化の決議を中国・ロシアに働きかけている。国会では休会中審議を開き、全会一致の朝鮮糾弾決議をあげて日本独自の制裁強化を発動するという。安倍政権は、自衛隊の弾道ミサイル防衛システムの拡大強化、日韓の軍事情報包括保護協定の早期締結など日米韓軍事同盟強化を策動する。

平和外交でこそ解決

 朝鮮の核武装に対し、日本政府は国連安保理で制裁強化を主導してきた。朝鮮に対するミサイル燃料禁輸、貨物検査、鉱物輸出禁止などでヒト、モノ、カネを断つというのだ。しかし、安保理自身がその年次報告書(2/29公表)で「制裁の効果に深刻な疑問」と認める。制裁はかえって緊張を高めるだけだ。

 なぜか。政府・マスコミは朝鮮が全世界から孤立した「ならず者国家」と描くが、実際は160か国以上が朝鮮と国交を結ぶ。中国やロシアだけでなくアフリカ、アジアなど90か国との間で貿易関係にある。安保理の制裁決議のもと「国際社会が一致団結」という状況ではない。

 軍事制裁せよ=Aはては先制攻撃≠ネど、あってはならない暴論だ。イラク、アフガニスタン、シリアで明らかなように、軍事攻撃は紛争の泥沼化、テロの連鎖を生むだけである。制裁や軍事的圧力は何の解決ももたらさない。

 解決は平和的な外交しかあり得ない。6か国協議(朝鮮、日本、米国、韓国、中国、ロシア)では、朝鮮非核化、国交正常化、北東アジアの平和安全保障で合意し包括的解決の道筋を示した(05年9月)。3月の安保理決議でも6か国協議の再開が改めて呼びかけられた。しかし、安倍政権はこれに背を向けている。

軍事同盟強化ノー

 安倍は、朝鮮や中国の脅威≠ふりまき、軍拡と沖縄新基地建設・強化、自衛隊派兵を加速させ、戦争法の実行を狙う。辺野古新基地を認めない沖縄県を裁判に訴え、「振興予算」削減や機動隊の暴力でねじ伏せようとする。さらに、改憲、9条破壊をもくろむ。グローバル資本の海外権益を守るためだ。

 朝鮮への制裁が議論されると、常に朝鮮学校への補助金停止が叫ばれ、民族差別、排外主義があおられてヘイトクライム(憎悪犯罪)が強まる。安倍の制裁強化は、すべての人権の危機に直結する。

 朝鮮核問題の解決は、制裁や日米韓軍事同盟強化ではなく、平和外交で6か国協議の道筋に戻る以外にない。「沖縄新基地、憲法改悪をやめさせ、命と平和を守る緊急署名」を地域に広げよう。軍事緊張ではなく平和解決を求める世論を強め、軍拡と新基地を止めよう。

 (9月12日)
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