2016年10月14日発行 1448号

【坂井美穂のじゃらんじゃらんinインドネシア 現地報告 cuaca ekstream (異常気象)って言うけれどさ】

 みなさん、パダンよりこんにちは。月日が経つのは早いもの。私の可愛い飼い猫も、留守の間にすっかり大きくなり、再び猫と暮らす穏やかな日々です。

 さて、この間こちらで日本のニュースを観ていましたら(NHKが映るのです)、台風や大雨の多かったこと! 日本から持ってきた私の携帯には、北大阪エリアで警報が出されるたびに、何時であろうとメールでお知らせが入りました。あちこちで農業や住宅などに甚大な被害が出ているようです。被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

 日本の台風や高潮による浸水、洪水などが、インドネシアの人びとにはどう考えられているのだろうと、一度学生たちに聞いてみたことがあります。日本のとある地域が何十年に1回の大雨で浸水した、昨年のニュースを見た学生が「先生、水がきれいだね。泳げるよ」と言ったのをいまだに覚えています。

 こちらでは、9月20日、西ジャワ州ガルット県で、数時間の大雨によって発生した土砂崩れが、県を流れるチヌマク川上流を一時堰き止めてしまいました。土砂が流れ出し、結果溜まっていた水は一気に勢いを増して鉄砲水となり、大きな被害を出したとのこと。犠牲者は今の所十数名ですが、溜まった泥を掻き出す作業がこれから必要です。

 ほんの1か月前、8月27日には、南ジャカルタのクマンという高級エリアの一帯で、酷い浸水がニュースになったばかりです。ジャカルタ一帯は、開発に次ぐ開発で地下水の汲み上げによる地盤沈下が酷いことは有名でしたが、川へのポイ捨ては減らず、排水システムがしっかり機能せず、大雨が降るたびにそこかしこが浸水しているのです。もちろん、ジャカルタだけの問題ではなく、私が住むパダンでも、少し雨が降ればすぐ水浸しになる幹線道路なんてたくさんあります。異常気象が原因なのかもしれません。しかし、これからの持続的な暮らしを考えた街のあり方を、再考すべき時ではないでしょうか。

坂井美穂(アンダラス大学人文学部招聘教員)

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS