2016年10月14日発行 1448号

【みる…よむ…サナテレビ(413)/2016年9月24日配信 イラク平和テレビ局in Japan/腐敗と闘う市民のデモは続く】

 2016年7月3日は、イラクでアバディ政権に対する抗議デモが始まって1周年だった。サナテレビはこの日、市民に対政府デモに参加する気持ちを聞いた。

 イラクについての国際ニュースでは、「イスラム国」(IS)と政府軍、米軍、イランなどとの戦闘やISによる対市民テロばかりが報道されている。大手メディアは報じないが、国内ではアバディ政権に対する市民の抗議行動がバグダッドを中心に1年間にわたって続いてきた。

 市民活動家たちは闘いの1年間を振り返る。当初政府は「デモは消え失せる」と考えていた。しかし、市民たちは「巨大なデモの火花を飛ばして、とどまることはない」と政府への抗議行動を続けた。要求に応じない政府・議会に対して、市民たちはいつもデモの出発点となるタハリール(解放)広場を「タハリール議会」と呼んでいる。

 もちろん闘いの中でいろんな困難もあった。シーア派の政治勢力であるムクタダ・アル・サドル派が介入し、自派の勢力拡大に利用しようとした時期もあった。政府は「イラク市民はデモに飽きてしまった」と言ってあきらめさせようとする。これに対し、市民は「黙っていては何も良くならない」「デモをさらに進めれば政府を追い詰めて私たちの要求に応えさせ、実現していける」と闘いの手を緩めなかった。

 デモが始まった時のスローガンは「ノー、ノー汚職」だった。この闘いはさらに前進している。インタビューの最後に登場する市民は、汚職政治家や宗派主義勢力と対決し、治安や経済、医療など生活のあらゆる側面の改善を求める全国的市民運動を展開する決意を表明している。

 イラクで市民のデモが展開された時期は、日本でも戦争法に反対するデモや2000万人署名運動、さらに参議院選挙が闘われた時期と重なる。安倍政権の戦争と憲法改悪策動を許さない闘いもまた、弾圧や「あきらめ感」に立ち向かいながら進んできた。市民の闘いに共通の視点と感覚を感じることができる。

 日本政府は汚職だらけのイラク政府を数千億円の「経済援助」で支えている。石油利権の確保のためだ。汚職と緊縮政策に反対するイラクの市民の闘いに私たちも連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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