2016年10月28日発行 1450号

【放射能健診署名実行委員会が福島で行動/駅前で署名・アンケート集め/事故後を撮り続ける写真家と交流】

2日で267筆の署名

 「月桃の花」歌舞団のミュージカル『ガマ人間あらわる』福島公演にあわせて、放射能健康診断100万人署名運動全国実行委員会は10月8、9日に福島駅前で署名と健康調査アンケートの行動を行った。

 初日は雨の中、5人2時間で95筆。2日目は歌舞団のエイサー隊、福島県のメンバーも加わり、おおいに人目をひいて2時間で140筆の協力を得た。公演会場で書いてもらったものを含め、2日間合わせて267筆の署名、69人に健康調査アンケートの回答をしていただいた。

 回答の中には、白血病や血液異常を記入した方もいた。用紙の裏側一面にびっしりと、福島県の住民の気持ちを他の地域の人が理解してくれないことをつづった人もいた。調査開始以来今回も含めて、自覚症状では疲労感を訴える人が多数を占めた。行政への要望事項として、情報を開示すること、健康診断を実施することを求めたものが多い結果となっている。

心動かす生々しい写真

 9日の行動のあとで飛田晋秀(ひだしんしゅう)さんとの交流会を行った。

 飛田さんは原発事故の写真で高名な写真家だが、撮影対象は主に帰宅困難区域内となっている。スライド上映では、無人の町、泥棒に荒らされた家屋等の生々しい絵の数々。主(あるじ)がイノシシとなった家屋の中の写真からは、布団についた臭いまで伝わってくるようだった。滞在時間が限られている中での撮影の緊張感がよく伝わってきた。事故当時入院していたご友人から、原発事故の様子を記録にとどめておくように頼まれて始めたという。初期の目的を貫徹していることが人の心を動かす作品につながっているのだと思った。

 前日には私たちと宿泊してくださり、そのときにも話を聞いた。福島第一原発の近くに計画されている除染土の中間貯蔵施設の用地買収がほとんど進んでいないことが知られている。その背景には、地権者が登記当時の子孫に移っているため、すべての該当者の同意を得ることが絶望的に困難になっている事情があるという。こうしたことは現地をよく知っている人でなければ知り得ないことだ。

 今回の行動で、署名やアンケート調査に初めて参加したメンバーもいた。人、材料ともに基礎を固めることにつながった。この成果を大切にして、放射能健康診断署名運動を盛り上げてゆき、私たちと多くの人びとの命・健康を守るための貴重な通過点にしたい。

(放射能健康診断100万人署名運動全国実行委員会・砂川一郎)

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS