2016年10月28日発行 1450号

【もんじゅ西村怪死事件の遺品返還裁判 証人尋問で予断と誤り追及】

 10月12日、もんじゅ西村さん怪死事件の遺品返還を求める裁判が行われ、元警察官2名が証人にたった。

 20年前、もんじゅナトリウム漏れ事故の調査担当であった旧動燃(現原子力研究開発機構)の西村成生(しげお)さんの遺体が都内ホテルの敷地で発見され、その捜査に当たった警官だ。両人とも、詳しい記憶がない、遺品はすべて返しているはずと述べ、衣服、手帳など重要証拠の隠ぺい・廃棄の責任を逃れようとした。

 しかし、弁護団の尋問で次々とぼろが出る。遺留品を返すときには「引渡書に記載する」「受け取りをもらう」と答えながら、その書類がない。衣服は霊安室に「ビニールの袋に入れてあった」「監察医と荒井警察官が遺族に対応」との証言に対し、原告である遺族の西村トシ子さんが「霊安室に衣服などありません」「監察医と一切会っていません」と追及。しぶしぶ記憶違いを認めざるをえない。

 また、警察は自殺=事件性なしと現場到着の早期から予断をもっていたことも明らかになり、重大な誤りの可能性を浮かび上がらせた。「飛び降り自殺」との110番通報、動燃役員からだけの聞き取り(遺族なし)、遺書(本人のものではない筆跡の数字も含まれている)だけで、事件性なしとした。大事な遺品の数々は遺族に戻っていない。

 傍聴席からあふれた支援者は約50人。報告集会では「これは自殺じゃない」「警察は、成生さんがもんじゅ関係者だと知っていたと証言。作為を感じる」と問題点をあげた。

 成生さんの死は、もんじゅ事故当時の世論を沈静化させ、原子力マフィアのウソと隠ぺい体質を作りあげた。死の真相を暴くことは、もんじゅ廃炉実現の取り組みと共通する。

 次回は来年1月16日午後4時から東京地裁で行われる。

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