2016年11月04日発行 1451号

【1451号主張 戦争・原発・貧困なくす闘いで 市民・野党共闘の再建強化を】

共闘つぶしの策動

 10月23日投開票の東京10区、福岡6区の衆院補選で、自民党が議席を維持した。東京では自民党に「反旗」を翻(ひるがえ)した小池都知事側近の候補を公認し当選、福岡では候補者調整ができず当選者を自民党へ入れた。自民党内の内紛があらわになり、安倍政権の強さを示したものではない。

 問題は、野党統一候補が勝てなかったことだ。市民と野党共闘への妨害が強まっている。野党統一の内実は、共産党が候補を下ろせばいいという民進党の対応で共産、自由、社民などの推薦も受け付けなかった。市民運動の働きかけで実現させた4野党幹部らが並ぶ合同演説会にも、連合が反発して候補者を出席させず、さらに選挙スタッフを選挙事務所から引きあげた(東京10区)。連合は、グローバル資本の代弁者として共闘破壊をすすめている。市民と野党共闘の再建は急務だ。

地域に闘うエネルギー

 市民と野党共闘の再建強化の展望は、地域の中の市民の闘いにある。

 10月14日の新潟県知事選では、民進党を離党し共産、自由、社民3党が推す米山候補が6万票の大差で勝利した。原発再稼働を求める原子力ムラ―東京電力労組などの意を受けて連合は自公推薦候補を支持。民進党が自主投票となり、野党候補の実現は公示直前だった。この困難を克服して勝利した要因は、原発再稼働を阻止する市民の運動があきらめることなく共闘候補を擁立し、脱原発を争点に押し上げたことだ。全国的な市民の支援が集まり、4野党党首・幹部がそろって応援に立つこととなった。市民と4野党共闘の実体が作られた。

 衆院補選でも、市民の運動で野党共闘を作る努力がねばり強く行われた。野党間の政策協定ができずとも、市民と候補者との政策協定が追求され締結された。連合は選挙スタッフを引きあげたが、「市民で事務所の電話かけを満杯に」「最初から市民と協力すればよかったと総括させよう」と運動が沸き起こった。

 野党共闘は市民に背中を押されて≠ナきる。戦争法反対運動の教訓だ。地域には安倍政治を許さない市民の闘いのエネルギーが満ちている。

選挙に勝つ運動を

 沖縄の選挙、鹿児島や新潟県知事選で安倍・自公与党候補に勝ったのは、新基地建設や原発再稼働の是非など明確な争点が当事者の運動の中から作られたからだ。沖縄基地、原発はもちろん、TPP(環太平洋経済連携協定)の強行採決策動、年金カット法、介護負担増の動き、残業代ゼロ法に解雇自由、南スーダン派兵での武力行使、憲法審査会の始動など、個人の尊厳、平和と命を守る対決点はあふれている。みな私たち自身が当事者だ。声を上げよう。

 来年早々とも言われる総選挙に向け、野党間協議が再開される動きだが、政党幹部だけに任せていては、共闘は進まないし、対決点を明確にすることはできない。

 野党協議を待つのではなく、当選への市民の運動が必要だ。今、沖縄・改憲阻止緊急署名は地域のすみずみに対話を広げている。総がかり行動実行委も地域レベルでの共闘拡大や沖縄署名を呼びかけた。市民の声と力で地域からの大きな共闘、候補者統一と当選への運動をつくり出そう。

 (10月24日)
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