2016年11月18日発行 1453号

【沖縄・高江ヘリパッド工事阻止へ やんばるの森は破壊の危機 「山城博治さんを取り戻せ」】

 いま、沖縄・米軍北部訓練場の高江ヘリパッド建設作業が急ピッチで進められている。ヘリパッドと運搬道路の整備で使用するためN1地区ゲートに搬入される砂利の量が10月下旬から急増し、当初、1日当たりダンプカー10台分程度だったものが10月31日には過去最多の100台分の搬入を記録。11月4日までに累計2000台分を超えた。安倍政権は年内工事完了をもくろむ。これを阻止する現場の闘いは最大のヤマ場を迎えた。

自然破壊もおかまいなし

 10月28日、沖縄防衛局は国頭村(くにがみそん)のヘリパッドG地区から東海岸の宇嘉川河口部の訓練水域を結ぶ歩行ルートを建設するため環境影響評価(環境アセスメント、以下アセス)をまとめた文書を沖縄県に提出した。歩行ルートは全長約2・6キロにおよび米軍が上陸訓練として使用する。ゴムボートで上陸後、オスプレイや攻撃ヘリなどと連携した訓練が想定され、これまで以上に訓練場の機能強化につながる。

 今回防衛局が工法変更として出した歩行ルートの補修事業は、2007年に同局が作成したアセスには記載されていない「新たな工事」に該当することが判明。沖縄県は防衛局に対し、自然環境への悪影響などを理由に工事を「実施すべきでない」と反対する文書を防衛局に送付した。これに対し、防衛局側は「アセスは法的義務のない自主アセス≠セ」と開き直っている。県環境影響評価審査会の宮城邦治委員長はこの件に関し「工法変更ではなく、全く新しい事業。自主アセスは単なるアリバイづくりで意味がない」と批判している。

 また、林野庁の沖縄森林管理署は、防衛局が出した同歩行ルートの整備による立木伐採の届け出に対し現場調査後、「伐採範囲は必要最小限」と判断し、11月2日伐採に同意した。伐採範囲は面積にして5592平方メートル、伐採本数はなんと4694本にも上る大規模伐採となることが明らかになった。

 どこが必要最小限なのか。全くでたらめな大規模環境破壊ではないか。

 同管理署は、防衛局に与えた同意書の中で「貴局の責任において、地元対応等を行うことを条件として同意する」としている。防衛局は反対する住民はおろか、県の意見にも耳を傾けず、民間ヘリを投入し資機材の運搬作業を強行する構えだ。

 やんばる(沖縄本島北部)の森が破壊されることで、希少種の生息環境は最大の危機に瀕している。


みんなで取り返す思い

 東村(ひがしそん)高江で不当逮捕、勾留された沖縄平和運動センター議長、山城博治さんの勾留理由開示公判が11月4日午後3時半から那覇地方裁判所で行われた。

 裁判所前の城岳(じょうがく)公園では午後2時20分から山城さんを励ます事前集会が開催され、平日にもかかわらず約130人が集まった。高江の現場の闘いが激しい中、現地から駆けつけた仲間もたくさんいた。島袋文子さんの姿もあった。参加者の姿に、以前、山城さんが高江現場で語っていた「逮捕されたら全員で取り返す。捕まったらみんなで激励し、みんなで取り返す。個人の責任にはさせない」との思いを見た気がした。

 集会では、山城さんが勾留中、家族と接見できない異常な状態に置かれていると報告。裁判所内に向けて「博治さーん聞いてますか。待っててくださいよー」とエールを送る場面もあり、仲間から様々な思いが語られた。

 沖縄平和運動センターの大城悟事務局長は、高江の厳しい現状とさらなる市民の参加を呼びかけた。「闘う時期は今=A時期は11月です。12月ではありません。あなたが行くではなく、自分が行く。でも一人じゃなく、一人二人と引っぱって高江に行きましょう」。水曜・土曜の一斉行動日以外にも結集することを提起した。最後に、「山城さんが帰ってくるまで私たちが頑張っていこう」と団結ガンバロー三唱。参加者は傍聴に向かった。

市民のいっそうの結集を

 この日、公判では勾留理由について裁判官は「答えられない」と言及を避けた。山城さんは「反省すべきならば反省」と有刺鉄線切断は認めた上で「堂々とこの運動をしていきたい」と工事を強行する国の姿勢を批判した。法廷で大きな拍手を受けた山城さんは元気そうだったという。

 那覇地検は同日、今回の「器物損壊容疑」について処分保留とした。しかし、もう一つの「公務執行妨害・傷害容疑」での不当勾留はなおも続き、11月9日午後3時に勾留理由開示公判が行われる。

 年内工事完了を断念させるため、山城さんを取り戻す闘いと高江現地での阻止行動にこれまで以上の市民の結集が求められている。  (A)

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS