2016年11月25日発行 1454号

【1454号主張 危険なトランプ勝利 全世界から排外主義を追放し 民主主義的社会主義に進もう】

市民の苦境をすり替え

 トランプが米大統領選で勝利した。選挙の出口調査が示すように、グローバル資本主義のもたらす格差拡大にあえぐ白人労働者の強い支持を獲得し勝利した。

 トランプは「ラストベルト」(さびついた工業地帯)と呼ばれる製造業の集中地域で支持を集めた。失業と低賃金に苦しむ白人労働者に対して排外主義をあおり票をかすめ取った。「(メキシコ移民は)麻薬や犯罪を持ち込む。彼らはレイプ犯だ」「南の国境沿いに『万里の長城』を築き(建設費は)メキシコに払わせる」と排外主義をかきたて、グローバル資本主義がもたらした米国市民の苦境を移民が原因とすり替えたのだ。

グローバル資本に応える

 今回の大統領選挙では、サンダースが民主党候補選出過程で多くの支持を集めた。一方、クリントンはグローバル資本の直接的代弁者であり、低投票率(56%、11/10ワシントンポスト)に示されるように、苦しむ民衆の積極的支持は得られなかった。大多数の市民はグローバル資本主義の格差拡大政策に強い怒りを持っている。だが、怒りの一部は棄権となってクリントンを落選させ、一方、トランプの「アメリカを再び偉大にする」が現状を変革するのでは、と期待感を集めたのである。

 しかし、トランプの政策は市民のためのものでは全くない。連邦法人税率を35%から15%に下げ、1兆ドルのインフラ投資、金融規制緩和を打ち出し、グローバル資本の期待に応えている。市民に対してはオバマケア(低所得者向け民間医療保険加入補助制度)を廃止し、ダメージを与えようとしている。株価は正直に反応し、トランプ当選後ダウ平均株価は大きく上昇した。トランプは排外主義を掲げ、憎しみをあおり市民生活を破壊するが、グローバル資本の利益は保障する。

 トランプだけではない。排外主義を掲げグローバル資本主義の矛盾に立ち向かうふりをする手法が全世界ではびこっている。イギリスのEU離脱を進めた英国独立党、「ドイツのための選択肢」、フランスの極右政党国民戦線らは、すべて移民、難民を排斥する排外主義をあおる。

 排外主義は民主主義否定、基本的人権否定の思想だ。グローバル資本主義の排外主義と対決し、全世界に平和と民主主義を貫徹し、民主主義的社会主義をめざさなければならない。

安倍―トランプ同盟許すな

 安倍政権はTPP否定のトランプ勝利にあたふたした。日本の株価はトランプ勝利の直後は暴落したが、すぐに回復した。トランプはグローバル資本主義推進であり、結託していけると見たからだ。トランプ、安倍は排外主義で一致する。トランプは「日本が核兵器を保有しても、米国にとっては悪いことではない」「日本防衛のために巨額の経費を費やす余裕はない」と主張する。安倍は、日本が独自核武装をし、改憲し戦争を行えるようにするチャンスと考えている。危険な安倍―トランプ同盟を許してはならない。

 今まさに沖縄高江、辺野古新基地建設反対、改憲阻止の闘いを強化し、直ちに反撃に立ち上がった米国民衆と連帯して排外主義を許さない闘いを進める時である。

 (11月14日)
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