2017年03月03日 1467号

【維新が狙う大阪都構想ゾンビ 法定協設置を許さない 狙いは万博・カジノへ税金投入】

 日本維新の会(維新)は、2月開会の大阪府・市両議会に「特別区設置法定協議会」(法定協)設置議案を提出する。一昨年5月の住民投票で否決された「大阪都構想」をゾンビのようによみがえらせるものだ。法定協設置を許さない取り組みを強めよう。

都構想導く総合区案

 維新・吉村大阪市長は、現在の24区を8区(1区30〜40万人)に合区して「総合区」を導入する案をまとめた(2/6)。「総合区」は、子育て施策、道路・公園の維持管理など一般市並みの権限とし、3月末までに区割り案を、8月をめどに詳細な事務権限や職員体制などの案を作成するとしている。一方、「都構想」法定協設置議案も議会に提出する。

 維新の狙いは、「総合区」実現ではなく「大阪都構想」復活にある。公明党が推進する総合区案丸呑みと引換えに同党の法定協設置賛成を引き出し、再び「都構想」住民投票を実施しようともくろむ。

 維新・吉村は次のように描く。まず市議会で維新・公明の賛成で総合区案を可決。府市両議会で設置する法定協で協定書を作成し、来年秋ごろに特別区住民投票実施。賛成なら「都構想」特別区、否決なら「総合区」に移行する。

ウソで固めた手法

 しかし、この維新の手法は、ウソと矛盾に満ちている。民意を無視するばかりか議会をも軽視し一片の道理もない。

 第一に、15年5月の住民投票で「都構想」(特別区設置)を否決した大阪市民の意思を踏みにじるものだ。維新は、住民投票で「究極の民主主義」「ワンチャンス、二度目はない」と市民をあおった。しかし、今や維新は平気でウソをつき、自ら公言した「究極の民主主義」を破壊しようとしている。

 第二に、「都構想」か「総合区」か、制度の二者択一を強いていることだ。制度問題に持ち込むことで、大阪市を廃止し「ワン大阪」の名で一人の独裁者によって上意下達の府市の意思決定をする「都構想」へ導こうとしている。維新・吉村市長は「住民サービス充実のための改革」とうそぶくが、住民サービス充実とは制度の問題ではなく行政の姿勢の問題だ。市民の声に耳を傾け、貧困・子育て・介護など緊急の課題解決へ市民生活を抜本的に改善する徹底した改革こそ必要だ。大企業のために市民の税金を使う「都構想」を推進する吉村に「住民サービスの充実」などできるはずはない。

 第三に、はなはだしい議会軽視だ。維新は、今年秋以降に「8総合区」を議会に提案し、先行議決する。しかし、維新・吉村市長は、来年秋の「都構想」住民投票で賛成多数なら「総合区」でなく、大阪市を廃止し「都構想」の特別区に移行するという。何のことはない。議会の決定などはなから無視なのだ。

 公明党は早々と法定協設置賛成を決めた(1/17朝日)。事実上の「都構想」容認だ。市民の生活に目もくれず、道理のない政治的取り引きに終始するなど言語道断だ。

税金を巨大開発へ

 維新・吉村市長が、ウソと矛盾に満ちた手法まで使って強引に「都構想」を推進するのはなぜか。

 大阪市を廃止し、その権限と財源を奪うことで、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)施設や大阪万博誘致と関連大規模開発に巨額の税金をつぎ込むためだ。

 松井知事と吉村市長は、安倍政権の後押しで、大阪市の夢洲(ゆめしま)での2025年万博誘致をテコにカジノ・IRを推進している。万博は、会場建設費だけで1300億円(府市で400億円負担)、アクセス道路等に40億円、地下鉄中央線の延伸に640億円。さらにカジノ・IRの予定地30ヘクタールの埋め立てに50億円必要だ。カジノは犯罪誘発や依存症、多重債務の発生等重大な影響があるうえ、カジノを核とするIR自体、数千億円規模の巨大施設で利権にまみれたものだ。

 市民にどん底の生活を強いて確保した巨額の税金を、大企業が巨大開発で儲けるためにつぎ込むことなど断じて認められない。

 「都構想」のための法定協設置を許してはならない。法定協設置反対の行動を強めよう。市民生活を第一に公的責任を拡充させ、「市民のためにとことん税金を使う」改革こそが問われている。

 
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