2017年03月24日 1470号

【1470号主張 PKO撤退が示す政策破綻 今闘いを一つに安倍打倒へ】

追い込まれ撤退表明

 安倍首相は3月10日、唐突に南スーダンPKOからの自衛隊5月末撤退を表明した。「治安悪化が理由ではない」「道路補修など一定の区切り」と屁理屈を並べるが、誰も納得しない。アベは、野党から自衛隊撤退を求められても一貫して拒否し続けてきた。南スーダンPKO本部も約350人の大部隊撤退にあわて、各国に追加派兵を求めている。予定された撤退ではない。

 自衛隊撤退は、安倍政権への多方面からの批判の高まりに押されたもので、闘いの成果だ。PKO日報の隠ぺい、憲法9条破壊発言などで稲田防衛大臣への辞任要求は強まり、加えて森友学園疑惑追及の運動が広がった。安倍支持率が低下しはじめた。自公与党幹部の間では「(内戦状態の南スーダンで)もし自衛隊員の死者が出たら政権が吹っ飛ぶ」という危機感が高まっていた。政権延命のためにやむを得ず撤退するのだ。

潮目は変わった

 戦争法に基づく南スーダン派兵部隊への新戦闘任務(駆けつけ警護、宿営地防衛)付与は、自衛隊が海外で殺し殺される軍隊となる重大な決定だった。南スーダンから撤退すれば、海外でPKO展開中の自衛隊はなくなり、「積極的平和主義」の看板もゆらぐ。政府は次のPKO派兵先を探すほどだ。安倍は初めて派兵という重要政策の破綻に追い込まれた。これは、安倍退陣に向け世論の潮目が変わったことを意味する。

 疑惑の渦中にある森友学園理事長退任と「瑞穂の國小學院」認可申請取り下げの記者会見と同時に、PKO撤退表明は行われた。安倍の意図は、追及の火の手が広がる森友疑惑や南スーダンPKO問題の幕引きを狙い、今国会での共謀罪法案成立、沖縄新基地建設・オスプレイ全国配備の強行に集中したいのだろう。

 しかし、市民は安倍政権の醜悪な姿を見抜き、怒りをたぎらせている。戦争国家、憲法改悪、国のために死ね≠ニいう教育勅語礼賛、国有地や税金を食い物にする安倍の取り巻き人脈と官僚たち。その一方で、格差貧困の拡大、原発推進、被ばく強要。こうしたすべてが凝縮したのが現在のアベ政治なのだ。

市民の行動で打倒実現

 PKO、森友疑惑追及の手を緩めず、共謀罪法案阻止、沖縄の闘いなどすべてを一つに安倍打倒へ運動を強めよう。5月末ではなく、今すぐ自衛隊を南スーダンから撤退させよう。現地は、国連も「ジェノサイド(集団虐殺)の危険」を警告する内戦激化だ。いつ戦闘に入ってもおかしくない。悲惨な場面に遭遇し心的外傷後ストレス障害(PTSD)となった自衛隊員がすでに20人いるという。猶予はない。人命をもてあそぶ官邸・稲田を徹底追及しよう。

 共謀罪法案は、与党内部でも「テロの定義」「人権侵害の危険」「現行法で対処できる」と議論百出。閣議決定も遅れている。署名、ファクス、集会などで運動を強めるなら、今国会強行阻止は可能だ。

 総がかり行動実行委は毎週木曜、共謀罪法案阻止、森友疑惑追及、安倍退陣を掲げ、官邸前行動を開始した。隣の韓国では、毎週数十万、数百万に上った市民の行動がついに朴槿恵(パククネ)罷免を実現した。民衆の行動でこそ安倍を打倒できる。

  (3月13日)
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