2017年03月24日 1470号

【沖縄辺野古阻止へ 安倍は命を守らない 全基地撤去、山城さん釈放を】

吊り下げ訓練でタイヤ落下

 3月8日、米海兵隊は地元住民の反対を押し切って3か月ぶりに吊り下げ訓練を再開した。午後2時半頃、宜野座村(ぎのざそん)城原(しろはら)区の民間地付近などで、ヘリが吊り下げた複数のタイヤを落下させた。付近住民は「もし人の上に落ちたら死にますよ」と、命と生活を気にもとめない米軍への怒りをあらわにする。

 米軍から防衛局への通報は同日午後10時半。防衛局から村には翌9日午前0時すぎ、隣の金武町(きんちょう)には午前8時半すぎと連絡も遅すぎる。町長、村長らは13日にも防衛局を通じて米側に抗議と訓練中止、民間地付近の着陸帯「ファルコン」の使用中止を求める。

 9日衆院安全保障委員会で、稲田朋美防衛相は「落下した物資については探索中。米軍と密接な連携を図りながら安全面に配慮を求め、地元への影響が最小限にとどまるよう適切に対応する」と答えるのみ。その一方で稲田は翌10日、「県内すべての米軍基地を自衛隊と共同使用すべき」とする在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン4軍調整官の主張に、「今後充実させるべきだ」と同調した。どこが「安全面に配慮」か。ミスでは済まされない。沖縄県民の命を何と思っているのか。

辺野古に汚濁防止膜

 沖縄防衛局は3月10日午前11時ごろ、辺野古新基地建設護岸工事に先立つ汚濁防止膜の設置作業を大浦湾海上で開始。この日、現地を訪れた。

 汚濁防止膜は460mあり、沖縄防衛局の小型作業船で辺野古崎沖の設置地点まで曳(えい)航し、海底に投下されている大型コンクリートブロックと膜を固定する。4月末までに4か所設置する予定で全長2100mに及ぶ。

 埋め立て工事で濁った海水の拡散を防ぐ目的というが、反対する市民は「水深40mある場所に、わずか7mしかない防止膜は意味がない。環境に影響がないというのはごまかしだ」と批判する。

 膜の設置と並行して、別の地点でブロック投下も行われた。予定の228個のうち6割以上がすでにに海底に投下されたと報じられる。どれほど海が傷ついたことか。5月にも始まる護岸工事を経て浚渫(しゅんせつ)工事など本格的な埋め立てに向けた作業へ既成事実を作ろうとする国。改めて怒りがわく。

 海上では、抗議船4隻とカヌー11艇が「海を殺すな」「STOP埋め立て」と訴えた。米軍キャンプ・シュワブゲート前では連日の座り込みが続く。3月4日「三線(サンシン)の日」や8日など大行動で300人が集まれば終日工事車両進入を止めるか、大幅に遅らせている。10日は、昼食で人の少ない時に市民20人を県警機動隊50人が排除し、ダンプなど44台が入った。一人でも多くの結集が必要だ。

稲葉さん保釈、妻の接見も

 抗議活動中の「威力業務妨害罪」で逮捕・起訴され、100日に及ぶ長期勾留が続いていた稲葉博さんが3月8日、那覇拘置所から釈放された。弁護側が3回目の保釈を申請し、那覇地裁が保釈を決定した。ところが、その威力業務妨害事件に限っては沖縄平和運動センターの山城博治議長も保釈を認めるが、昨年8月の「傷害と公務執行妨害罪」に問われている事件の保釈は認められなかった。準抗告(不服申し立て)をしたが地裁は認めず、弁護側は最高裁に特別抗告。山城さんの不当勾留は続いている。

 稲葉さんは「やっと外に出られた。本当に限界だった。平日の6名くらいの仲間の面会、外から聞こえる仲間たちの声が励みになった」と語る。

 那覇地裁は10日、山城さんの接見禁止を一部解除し、妻との接見を認めた。山城さんらを釈放せよ≠ニ求める地裁前の毎日の抗議・激励、国内外の声がほんの少しだが、穴を開けつつある。

 17日は山城さんの初公判だ。事前集会が9時から那覇地裁前の城岳(じょうがく)公園で開かれる。共謀罪の先取りともいえる基地建設反対運動つぶしの不当長期勾留を認めてはならない。1日も早く山城議長ら2人が解放され家族とすごせるよう、翁長雄志(おながたけし)県知事らオール沖縄とともに安倍政権の辺野古新基地強行と不当弾圧をはね返そう。(H)

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