2017年03月24日 1470号

【坂井美穂のじゃらんじゃらんinインドネシア 特別編 インドネシアと朝鮮(上)】

 みなさん、2017年も世の中暗くて嫌なニュースにあふれていますね。今回は、2月に起こった、あの事件について少し考えてみたいと思います。

 数年前、マレーシア・クアラルンプール国際空港のLCC専用ターミナルは、空港内の大きな倉庫のつくりはそのままに中にイミグレーションや航空会社のカウンターなどを適当に配置した粗末なものでした。しかし、エアアジアが成長し、世界を繋ぐ翼として日本でも有名になりだしたころ、このターミナルは廃止。従来の第1ターミナル(通常の航空会社のフライトが離発着するターミナル)の隣に新しくLCCターミナルが建設され、アクセスも良くなり、きれいで快適なハブ・ターミナルに生まれ変わりました。

 LCCに乗るために、このターミナルに世界中から人が集まります。そんな場所で2月13日、事件は起きました。金正日(キムジョンイル)の長男である金正男(キムジョンナム)がこの空港ターミナルで殺害されたというニュースが飛び込んできました。映像を見る限りでは、空港カウンター近くの自動チェックイン機のそばでした。あんな往来の激しいところで一体何があったのか、とても驚きました。

 今回事件があったマレーシアを含めて東南アジアの国々と朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の間では、意外かもしれませんが、そう悪くない友好関係が築かれてきたようです。

 第二次大戦後、アジア、アフリカの国々が独立し、東にも西にも与(くみ)しない第三世界を目指す(バンドン会議が有名ですね)中で、当時のインドネシア大統領であったスカルノもリーダーシップをとった人物の一人です。1955年の同会議には、韓国も朝鮮も参加していませんが、のちに共産党にも近づいていく政策をとるスカルノは、1961年から朝鮮との外交関係をスタートさせています。64年2月には、ピョンヤンに領事館を置き、同年11月にスカルノが公式訪問を実現させた後、領事に代わり大使が配属されることになりました。(続く)

坂井美穂(アンダラス大学人文学部招聘教員)

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