2017年04月07日 1472号

【イラクと日本 利権のための無差別爆撃 生活と権利のために闘う労働者】

空爆で何千の犠牲

 イラク軍と米軍を中心とした有志連合軍は、IS(「イスラム国」)の支配するモスルへの攻撃を激化させている。2月後半から3月上旬にはイラク軍と警察部隊が空港や政府庁舎を制圧した。

 だが、米軍・仏軍などの空爆は市民の被害を著しく増大させている。2014年以来の爆撃による市民の犠牲者は6千人から8千人に上ると報道されている。現在もIS支配下に市民が60万人も残されているが、無差別攻撃が続いている。3月17日にも、有志連合のモスル空爆で複数の建物が崩壊し、市民が下敷きになって230人が死亡した。

 米軍は2015年、シリア内のISの標的に対し、放射能爆弾(「劣化」ウラン弾)を2回使用したことを認めている。トランプ大統領は「ISの中の誰かが我々を襲ったら―核によって反撃はしないのかね?」と核攻撃さえ示唆している。

石油利権の確保へ

 グローバル資本主義諸国がIS掃討を名目に軍事作戦を続けるのは、イラク、シリアをはじめ中東の支配権を確保するためだ。国際石油企業はイラクの石油で大もうけをもくろんでいる。

 2月22日、国際石油開発帝石(INPEX)はイラク南部のブロック10鉱区で新たな原油を含んだ地層を発見と発表した。イラク占領時に自衛隊が長期駐留したサマワ(ムサンナ州)の真下がブロック10鉱区である。帝石は「当社にとってイラクの油田プロジェクトは初めて。極めて良好な結果なので、今後詳細を絞り込んで(商業開発を)見きわめたい」とイラク占領の「戦果」を誇る。

 3月2日、第8回韓国・イラク共同委員会がバグダッドで開催された。韓国は、国土交通部長官を首席代表に企画財政部、産業通商資源部、韓国鉄道施設公団などが乗り込み、イラク占領で派兵をした実績を元にIS以後の利権拡大に意欲を燃やしている。

 3月15日には、イラクのルアイビ石油相が年内に原油日量を500万バレルに増やす計画を発表した(イラク占領時の産油量は日量200万バレル程度)。また、イラク最大の南部石油会社は、ラタウィ油田とオマル油田の開発に向け米エクソンモービル(ティラーソン米国務長官は元会長)と交渉を開始している。

デモやストで反撃

 グローバル資本の利害に忠実なアバディ政権は、緊縮政策を続け、賃金引き下げ、福祉切り捨てを強行している。しかし、こうした状況に対して今、労働者・市民が立ち上がっている。

 1月15日、サマワの自治体で働く多数の清掃労働者が賃金の引き下げを拒否して市役所にデモを展開した。ある清掃労働者は「1か月に30万ディナール(約3万円)の契約で働いている。サマワ市当局は賃金を引き下げ、月に15万ディナール(約1万5千円)になった」と怒りをぶつける。

 2月24日、ワーシット市ズバイディア発電所の労働者が長年据え置かれてきた賃金の引き上げと常勤雇用を要求し、ストライキと座り込みを展開した。

 3月20日にはディヤラ州で、ナイフで刺される事件など教員組合に対する攻撃に対し、街頭集会などの抗議行動が組織された。

 グローバル資本の戦争・新自由主義―生活と権利の破壊と闘うイラク市民・労働者に連帯しよう。



ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS