2017年04月14日 1473号

【住宅の確保は命の確保/避難者住宅裁判を準備し、権利を求める集会】

 区域外避難者の住宅無償提供打ち切りを翌日に控えた3月30日、参院議員会館で「原発避難者住宅裁判を準備し、権利を求める集会」が開かれた。4月以降の住まいのめどが立たない避難者や支援者約60人が集まり、「原発事故の責任として公的住宅を確保せよ。居住の権利・避難の権利を堂々と訴えていこう」と励まし合った。

 大口昭彦弁護士は「行政訴訟は楽観できず、裁判にすべて託すのは間違い。他方、相手に(立ち退き訴訟を)起こされるのを待っていることもできない。“わがままで居座っている”といった心ない攻撃が仕掛けられる中、権利を訴えなければならない」と裁判の意義を強調した。井戸謙一弁護士からは「国や行政の理不尽な政策で権利を侵害された者が司法に救済を求めるのは、経済的な補てんだけでなく、虐げられた個人の尊厳を取り戻すことも目的。(集会は)孤立して苦しんでいる多くの被災者に勇気を与えるものだ」とのメッセージが寄せられた。

 福島みずほ参院議員もかけつけ、「住宅提供打ち切りを撤回させられないまま今日を迎え、申し訳ない。今後も力を合わせてしっかり頑張る」と決意を述べた。

 避難者が次々訴える。国家公務員宿舎に住む女性は「都営住宅を希望したが、子どもが成人になったため世帯要件が該当せず入れなかった。国家公務員宿舎の家賃は8万円を超える。契約ができないまま今日を迎えた。住宅の確保は命の確保だと思う。ここに集まってくださったみなさんが希望です」。雇用促進住宅に住む女性は「自分で選んで雇用促進住宅に入ったわけではないのに、出される時は都営住宅優先枠の応募すらできず、とてもショック。子どもを抱えてこれからどうしていったらいいのか。雇用促進住宅継続入居や公社住宅も提示されたが、家賃が高く入居資格さえない。長期的に住める住宅確保をしっかりやってほしい」。

 浪江町から県内に避難している今野寿美雄さん、南相馬市小高区から避難中のかながわ訴訟原告団長の村田弘(ひろむ)さん、葛尾(かつらお)村から都内に避難したキビタキの会会長の小島ヤスさん、郡山市から川崎市に避難した「避難の協同センター」代表世話人の松本徳子さんが連帯あいさつ。京都・山形の避難者、東京・千葉の支援者からの連帯あいさつ・メッセージが続いた。

 主催した「原発避難者住宅裁判を準備する会」を代表して田村市から都内に避難した熊本美彌子さんが声明文を読み上げた。

 今後の方針として、4月以降の行政による追い出しプレッシャーに一人ではなく弁護士を含めて対応する、4月中に交流会・相談会を開く、「一時使用許可申請書」却下に対する不服申し立ての取り組みを準備する、などが提起された。準備する会加入・相談は専用電話070―4388―2608まで。

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