2017年04月21日 1474号

【1474号主張 朝鮮への先制攻撃を許すな 米軍によるシリア攻撃糾弾】

国際法違反の侵略だ

 4月7日、米軍はシリアへの巡航ミサイル攻撃を行った。トランプ米大統領は「今夜、私は化学兵器攻撃の拠点となったシリアの基地に的を絞った軍事攻撃を命じた。致死性の化学兵器の拡散と使用を防ぎ、抑止することは、米国の死活的な国家安全保障上の利益にかなう」と述べて攻撃を正当化した。

 しかし、国連安保理決議もなく、米国への攻撃が行われたわけでもない。米軍のシリア攻撃は明らかに国際法違反の侵略行為である。我々は米軍の攻撃を断固糾弾する。

 シリア・アサド政権が化学兵器を使用したとトランプは主張するが、その証拠は示されていない。化学兵器の拡散と使用を防ぐと言うのであれば、まず徹底調査究明することだ。それもせずにいきなり攻撃に踏み切ったのは、トランプ政権が軍事費を大幅に増額し、主要ポストに軍人を配置する政権だからである。まさに軍部、軍需資本の要求にこたえる攻撃であった。

 シリアでは2月に和平協議が再開されていた。米軍の軍事攻撃はこの和平への動きを完全に破壊し、中東に緊張激化をもたらす。今シリアに必要なことは、和平協議であり、戦争ではない。

 それにもかかわらず安倍首相は「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を日本政府は支持する。今回の米国の行動は、これ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解している」と攻撃支持を表明した。

危険な先制攻撃の策動

 トランプは米中首脳会談の真っ最中に攻撃をさせた。習近平に対し、中国が朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)への制裁を強化しなければ米国が単独行動をとると表明。朝鮮への先制攻撃を示唆したのである。安倍は「東アジアでも大量破壊兵器の脅威は深刻さを増している。その中で、国際秩序の維持と、同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを日本は高く評価する」と述べた。

 トランプは就任以来行おうとする政策が相次いでつまずいた状況だ。中東・アフリカ7か国諸国からの入国制限、メキシコとの壁、オバマケアの廃止などすべて実行できていない。この状況をシリア攻撃で打開しようとしたのだ。

 森友疑惑、南スーダン問題などで窮地に立つ安倍も東アジアの緊張激化を望んでいる。集団的自衛権行使のチャンスをうかがい、共謀罪成立、辺野古基地建設の後押しにしようとしている。金正恩(キムジョンウン)はミサイル発射、核実験準備と挑発を繰り返している。トランプはそれを口実に先制攻撃を加えることを狙う。すでに原子力空母カールビンソンが朝鮮半島近海に向けて航行中だ。

 だが、彼らに決定的にかけていることは武力行使が多くの民衆の生命、生活を根本から破壊するという認識である。

トランプ―安倍の戦争ノー

 いま必要なことは、戦争ではなく、緊張緩和、平和軍縮への道である。全世界の平和を求める人びとと連帯し、トランプ―安倍の戦争路線を粉砕しなければならない。アメリカ大使館、領事館に抗議を集中しよう。安倍のシリア攻撃支持を撤回させよう。朝鮮への先制攻撃反対を訴えよう。共謀罪、辺野古新基地建設を阻止しよう。

  (4月10日)
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