2017年04月28日 1475号

【みる…よむ…サナテレビ436/2017年4月15日配信 イラク平和テレビ局in Japan/上下水道と電気を提供しろ/―マフムディア地区住民の怒り―】

 2017年2月、サナテレビはバグダッド南部のマフムディアで住民にインタビューを行った。

 この住宅地域では、路上にゴミがあふれている。インタビュアーのサジャド・サリームさんは「この町は巨大なゴミ捨て場になってしまった」と指摘する。イラクのような気温の高い国で生ゴミがそこら中に放置されているのは、衛生上大問題だ。

 世界的大河のチグリス川がバグダッドの真ん中を通っているが、この地域にはまともな水道水が来ていない。下水道も止められ、雨期に雨が降れば道路はぬかるみだらけだ。とても近代国家の首都とは思えないありさまだ。

 もちろん市民は黙って手をこまねいているわけではない。この地区の区長は、政府当局に「電気と下水道を提供してほしい」と要求してきた。だが、2003年の占領以来、「誰も関心を寄せていない」という。14年間もこの地域は行政から見放されている。

 ある市民は「電線を見てください。雨が降ったら音を立てて火が噴き出す」と訴える。感電や火事が心配されるが、「誰も修理に来ない」と言う。

 年配の市民は「失業者の仕事を確保しろと何年も前から要求しているのに、行政当局は全く何もやっていない」と批判する。ある男性労働者は「50歳になっても肉体的に厳しい建設現場の仕事しかない」と訴える。

 こうした現状は政治の責任であるはずだが、政治家は選挙の時期にやってくるだけで、選挙が終わればゴミも道路も電気も未完成の下水もほったらかし。「約束はするが何も実行しない」というわけである。

 最近、日本のJBIC(国際協力銀行)、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行がイラク向けの融資を行い、トヨタ商事がバグダッドなどの変電施設を600億ドルで受注したと報道された。しかし、この十数年来、日本政府のODA(政府開発援助)や日本企業の投資で電力施設がたくさん作られているはずが、市民の生活は一向に改善されていない。結局、石油をはじめ利権を食い物にし、汚職政治家を肥え太らせているだけなのだ。

 イラク市民と共に、アバディ政権の汚職とそれを支える日本政府の責任を追及しなければならない。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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