2017年08月04日 1488号

【沖縄辺野古新基地阻止へ シュワブ包囲人間の鎖2000人 県が工事差し止め提訴】

人道に反する機動隊

 連日、30度を超える真夏の日差しが照りつける沖縄。名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前では、炎天下でも新基地阻止のための座り込み行動が続く。ほんの数分立つだけで、目まいがする厳しい暑さの中での行動は体にこたえる。ゲート前の歩道脇には、抗議参加者の体調に配慮し救護用の日よけテントが設けられたが、非情にも県警機動隊は道路交通法違反として7月12日、救護テント2張を撤去。理由は「歩行者の妨害になっている」とのことだ。

 しかし、自らの警察車両はゲート前に駐車し続け、車両の間に排除した市民を押し込め、さらには人がいることを知りながら排気ガスを出し続ける行為など、違法行為であるばかりか人道的に大問題だ。以前は、市民側、機動隊ともお互いの「立場」をわきまえ、ある程度のルールに基づいて抗議を行っていた経緯があるが、最近は有無を言わさず一方的な排除が目立つという。政権の指示に忠実に従っているのか、忖度(そんたく)≠ネのか。いずれにしてもお互いウチナーンチュ(沖縄人)同士が対峙させられている状況は、悲しいというほかない。沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんは「(機動隊に対する)個人的な罵倒は彼らを向こう側に追いやってしまう」と複雑な心境を吐露した。

 7月16日、新たな護岸工事着手と見られる動きが確認された。辺野古崎西側の「K1護岸」と呼ばれる建設予定地周辺にオレンジ色の浮具(フロート)が設置された。19日には、付近の砂浜に砕石が投下され、資材搬入路の整備を進めていると見られる。すでに着工した「K9護岸」に続く2本目の護岸工事に市民側は警戒している。

基地ゲート4か所封鎖

 7月22日午後、キャンプ・シュワブゲート前では「辺野古・大浦湾の埋め立てを止めよう!人間の鎖大行動」(主催、基地の県内移設に反対する県民会議)が行われ、約2千人が参加した。手をつないだ参加者は基地を包囲し、基地内に向かって「新基地反対」の声を上げ、ゲート4か所を一時封鎖した。人間の鎖は1・2`にも及んだ。

 発言に立った安次富(あしとみ)浩共同代表は「人間の鎖を完成させるために、こんなに多くの人が集まった。21年間闘い続けてきた私たち名護市民にとって、非常に印象に残る日だ」と強調する。

 稲嶺進名護市長は「私たちの思い、行動は必ず権力に大きな影響を及ぼす。今日の行動を、知事を支え新基地をストップさせるエネルギーに変えていこう」と参加者に呼びかけた。

 工事強行であきらめを狙う安倍政権に対し、強行すればするほど沖縄県民の反対の意思は強固になっていくことを人間の鎖は印象づけた。

石垣は自衛隊配備反対

 一方、石垣島でも軍事化に反対する動きが加速している。石垣市平得大俣(ひらえおおまた)への陸上自衛隊配備計画を阻止しようと、「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」は22日、市有地を基地に提供しないよう市に求める署名活動に向けた集会を開催した。

 約600人の参加者は「ミサイル×」と書かれたプラカードを掲げ、「島を守ろう」と気勢を上げた。6月市議会で住民投票条例案が否決されたことを受け、署名活動が提起された。18歳以上の市民を対象に8月末までに少なくとも1万5千人分を目指し、軍事化反対を突きつける。

工事停止仮処分も

 あらゆる手法をもって辺野古新基地を阻止するとした翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事がいよいよ次の一手に踏み出した。沖縄県は辺野古新基地工事を続ける沖縄防衛局に対し、知事の許可を得ないまま岩礁破砕を行うのは県漁業調整規則に違反するとして、工事の差し止めを求める訴えを7月24日午後、那覇地裁に起こした。判決まで工事停止を求める仮処分も同時に申し立てた。

 防衛局は今年1月に名護漁協へ補償金が支払われたことをもって漁業権は消滅したと主張し、3月末で期限を迎えた岩礁破砕許可は必要ないと都合よく解釈してきた。しかし、県は、名護漁協は漁業権の一部を放棄しただけで漁業権は消滅せず、現状でも漁業権は残り、岩礁破砕許可が必要と差し止めを求める。

 翁長知事は、提訴後の記者会見で破砕許可も得ず護岸工事に着手するなどの政府の姿勢について「法治国家のあり方からは程遠く、無許可の行為をしてまで拙速に進め、豊かな生物多様性を誇る海を埋め立てようとする態度は到底容認できない」と厳しく非難。「県民の思いを置き去りにしたまま新基地建設に突き進む国の姿勢が問われる」と改めて提訴の意義を述べた。

 ゲート前で座り込む市民からは「知事も頑張ってほしい」「県民が一つになれば工事は止められる」と、提訴への期待とこれからも粘り強く工事を阻止する決意が語られている。  (7月24日、A)



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