2017年08月18・25日 1490号

【議会を変える 大阪府枚方(ひらかた)市議 手塚たかひろ 市民参加を保障する図書館を】

 枚方市には中央図書館1館と7分館、10分室がある。学習の場や居場所として地域に根づいている。

 2014年1月、生涯学習市民センターと図書館分室が併設されている6施設に指定管理者制度導入が提案された。15年8月、維新の新市長誕生。指定管理者制度の導入はより強く進められた。昨年4月から2館で先行導入し、18年4月から6館すべてに指定管理者制度の導入のための条例改正案が6月議会に提案された。

 指定管理者制度は、図書館と生涯学習市民センターの管理運営をすべて民間に委ねる。開館時間の延長など市民サービスの向上、経費削減など、導入のメリットが強調される。

 しかし、開館時間の延長は市の直営でも可能だ。市民活動、自治の拠点としての生涯学習市民センター、学習の拠点としての図書館に一人の市職員も配置されない。「市民と協働のまちづくり」を担う職員が現場にいなくなる。

 また、期限付きの契約のため民間職員の雇用は不安定となる。業者が利益を上げるために、7割から8割が低賃金非正規労働者となる。自治体がワーキングプアを作り出す。

 私たちは14年4月、「枚方の図書館行政を考える会」を結成した。他市の図書館見学、学習会、などを積み上げ、教育委員会交渉を継続して行った。導入撤回の請願を3度行った。いずれも私と共産党議員のみの賛成で否決された。

 16年11月、市の図書館職員などとの共闘組織「図書館をよくするぞうの会」を結成し、先行2館の実情、問題点を調査した。1館当たり市の資料でもわずか年間84万円の「財政削減効果」、本の貸し出し冊数も時間延長の効果もわずかであることがわかった。

 6月議会に「指定管理者制度導入の可否について慎重に審議をすること」を求める請願を1839筆の署名とともに提出した。市民は議員への説得活動を取り組んだ。

 費用効果がほとんどないこと、図書館への指定管理者制度導入は全国の市町村の約15%にとどまっていること、総務省も指定管理者制度推進を目指したトップランナー方式の交付金算定を見送ったこと―など、具体的な資料を持って。その結果、指定管理者制度導入に賛成していた議員4名を含めて9名の請願賛成が得られた。

 条例改正案は成立したが、市民は新しい手ごたえをつかんだ。市民の運動を背景に粘り強く働きかければ議会も変えることができるかもしれないと。見守り監視活動を継続することを確認し、図書館運営に市民参加を保障する図書館協議会設置の取り組みを始めている。
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