2017年10月06日 1496号

【森友・加計隠し解散/あらわになった8億円ねつ造/衆院選で卑怯者安倍追放を】

 安倍晋三首相が突然、解散にいたった理由に、森友、加計(かけ)隠しがある。森友問題の中心である国有地不当値引き売却にかかわる当事者の音声記録が公表された。国会答弁がウソまみれであったことが、いよいよ明白。言い逃れはできない。「ていねいに説明する」と言いながら逃げ回ってきた安倍。「事件に関与していたら議員を辞める」とも言っていた。言葉通り、国政から追放しよう。

「限りなくゼロに」

 FNNが9月11日に公表した音声記録は、2016年5月、近畿財務局池田靖・国有財産統括官(当時)他1名が森友学園を訪問した時の会話と想定される。1年前に結んだ10年間の定期借地契約を売買契約に変更する直前の時期だ。そこには、籠池泰典前理事長夫妻の他、森友学園の代理人弁護士、工事関係者も同席していた。

 「最後は『実際の金額いくらやねん』ていう話だと思うので」と切りだす池田が「来月(6月)早々には金額を提示させていただく」とスケジュールに言及。籠池は「0円に近い形で払い下げ」を要求する。池田はそれに「ゼロに近い金額まで私はできるだけ、努力するという作業をやっています」と応じ、「1億3千万円を下回る金額はない」と想定額を示した。

 前年15年に森友学園は国に代わってゴミ・汚染土を処分したとされる。1億3千万円はその費用として、国が森友学園に支払った額に相当する。この金額以下の売買では、国はタダで土地を渡し、さらに赤字を出すことになる。

 この金額は、地上から3bまでにあるゴミ・汚染土約1万1700dの処分費としているが、実際処分されたのは、720dのコンクリートがらだけ。金額にして多く見積もっても数百万円。国は履行確認もせず全額支払った。森友側には1億3千万円程の現金が残った。これを使えば、ほぼ0円で土地が買える。

「新たなゴミ」を捻出

 本題はここからだ。国有地の評価額は9億5600万円。想定価格1億3千万円とは8億2千万円の開きがある。池田は、この値引き根拠をつくるのに「努力する作業」を行っていると明言した。

 池田に同行した国の職員が、15年に支出したゴミは地上から3bの深さ、その下にあるゴミは、新たなゴミとして扱う―「そういうストーリーはイメージしてるんです」と発言すると、工事関係者は「われわれは、合わさせていただきますけれども、でも」と偽証することを躊躇(ちゅうちょ)する素振りを見せる。そこを池田は「ご協議、協議させていただけるなら」と押し込んだ。「口裏合わせ」が成立した。大阪航空局は09年の調査で、3bより深いところにゴミはないことを知っている。それより深いゴミは「工事業者の証言」がなければ成り立たない。

 値引き額8億円をどう算出するか。大阪航空局の荒技が発揮される。産廃ゴミの処分費には幅があるが、生活ゴミ、ビニール類が混在する産廃は「ミンチ」と呼ばれ、トン当たり4200円が相場だ。計算上、約1万9500dのゴミが出れば処分費は8億円になる。「杭工事のドリルの先にビニール屑がついていた」との「工事業者の証言」をもとに、杭の先端、地下9・9bにもゴミがあることにした。ただ、382本の杭の体積だけでは3千dにもならない。

 敷地8770平方bのうち、09年調査でゴミが出なかった範囲を外すと、5千平方b強の土地で残りの1万6千d以上のゴミを作る必要がある。必要なごみの量を面積で割った3・8b、その深さまでゴミが均等にあると決めた。ゴミの混入率は47・1%。09年調査時の20・7%が倍になった。地盤のほぼ半分近くがゴミだという。従前は住宅が立っていた。常識ではあり得ない数値だ。まして、3b程度より深いところは自然地盤であり、9・9bも深いところにゴミが出るはずがない。机上の計算にしても、余りに常識外れという他ない。

 

偽りの値引き計算

 国会でも非常識な計算に質問は集中した。大阪航空局はとうとう、実際に埋まっているゴミの量を出したものではないと答えた。では何なのか。「森友学園との売買契約に、今後ゴミが出ても国に賠償を求めない項目を入れたため、将来リスクを含め値引き額を決める必要があった」。つまり、森友側が納得できる値引き額を算定するために、あり得ない範囲にまでゴミをつくりだしてしまったのだ。大阪航空局はあくまで「合理的な判断だった」と言い張った。

 音声記録は、昨年5月の段階での生々しい価格交渉を明らかにした。だが、佐川宣寿(のぶひさ)前理財局長は今年3月「(価格を)提示したこともなければ、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」と断言した。

戦争国家への先進校

 官僚の面々がここまでウソをつき通したのはなぜか。それは、安倍と明恵夫人が支えた瑞穂の國小學院(「安倍晋三記念小学校」)開校に一丸となる以外になかったからだ。教育勅語を公然と教え込む小学校の実現、戦争国家づくりの先進校実現に政権が肩入れしていたからに他ならない。

 自民党二階俊博幹事長は9月19日の記者会見で、森友、加計学園疑惑隠し解散との指摘に「我々はそんな小さな、小さなというか、そういうものを、問題を隠したりなどは考えていない」と開き直った。99%の人びとの命をカネに換え、1%のために国家を私物化する彼らにとって、小さな問題なのだろう。

 だが、市民・労働者に苦境を強いながら、近しい仲間と権益をむさぼる権力者がどんな末路をたどるのか。民衆の怒りが爆発し、犯罪容疑者として囚われている元韓国大統領が示している。日本でもその様は変わらない。憲法を踏みにじり、戦争国家づくりに暴走する安倍政権。不正・腐敗ぶりも極まれり。安倍を倒せ。これが総選挙の合言葉だ。
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS