2017年10月13日 1497号

【判決は3・15 京都原賠訴訟が結審 原告・弁護団・支援者が一体 命に展望持てる判断を】

 福島原発事故による京都府への避難者57世帯174人が東京電力と国に損害賠償を求めて提訴した京都原発賠償訴訟。2013年9月17日の第1次提訴から4年をへて、9月29日第31回期日で結審。来年3月15日判決となった。

 9月29日、京都地裁前には140人以上の傍聴希望者が抽選に並んだ。午前9時55分、原告・弁護団が第3次提訴以来のデモ行進で入場し、玄関ホールに入ると支援者の盛大な拍手が包み込む。原告らは共通して「こんなにたくさんの人に支えられている」と改めて感じたという。開廷前に公正判決要請署名31団体6364筆を提出。累計141団体1万8283筆の願いが裁判所に届けられた。

希望の裁判所≠ノ

 10時30分開廷。最終弁論は法廷での4年間の闘いを集大成するものとなった。

 「本件訴訟の審理を終えるにあたって」と川中宏弁護団長が切り出す。「総理大臣が『状況は統御され、健康問題は、今までも、現在も、これからも全くない』と今もうそを押し通すわが国。棄民現代版とされた原告の要求は、憲法13条幸福追求権が保障する当たり前の要求、権利だ。その熱き思いを受け止め、希望の裁判所≠ナあってほしいと心から願う」

 3人の弁護士が、津波に関する東電・国の過失責任を問い、区域外避難者による避難の選択、深刻な負担・不当な差別に対する賠償の正当性を改めて確認する陳述を行う。

 原告団共同代表の2人が最終意見陳述。

 「私たちの心と身体は傷つきすぎて一杯一杯」と原告らの悲痛な心情を代弁した萩原ゆきみさん。「本来なら黄色いドラム缶に入れて管理するような土地で生活、子育てするなんて、あってはならない。避難の正当性を認めてください」と涙をこらえ訴えた。

 第1回弁論で「私たち一人ひとりの命とご自身の命で向き合ってください」と裁判官に迫った福島敦子さん。「誰もが持つ被ばくしてはならない権利を訴え続けてきた。『命』の問題として訴えます。裁判官は勇気をもって後世に明るい展望を持てる判断を」と力強く締めくくった。

 最後に、原告全世帯の証人尋問など同様の裁判では数少ない訴訟指揮を行ってきた浅見宣義裁判長が「真摯な問いかけに答えを出したい。協力を得て今日まで来られたことに感謝したい」と異例の発言。判決は、予定を変更し2018年3月15日と指定した。

原告16人が壇上で会見

 閉廷後、弁護士会館で記者会見&報告集会が開かれた。16人もの原告が撮影OKで壇上で答えるのも、こうした訴訟ではあまりないことだ。

 共同代表に続き、はげまし、うながしあいながら各原告からさまざまな思いが出された。「原発事故は現在進行形。除染されても、むしろ見分けがつかなくなっている」「たとえ裁判で勝っても取り戻せないものもある。核と人間はいっしょには住めない」「全員が尋問に立ち、やりきった。今後も、署名に、お話会に、と呼びかけていく」―。

 「リレーのように全国の訴訟がつながっていくこと」と各裁判の連携も強調された。この日は、福島、東京、神奈川、関西、兵庫など各訴訟の原告、弁護団も参加し、連帯のエールを寄せた。会場後方では、傍聴から続く参加者がびっしりと立ち見で見守る。

 午後は「提訴から4年! みんなの思いを集めて勝利をめざそう ラストスパート集会(レセプション)」に。原告団が作成したスライド「京都訴訟の歩み」の語りでは、原告12人や支援する会スタッフが次々と発言した。原告・弁護団・支援者一体の京都訴訟の温かさと強さを再確認するものだ。判決期日まで署名や手記集『私たちの決断』を広げるなどできることをやりきろうと、思いを一つにした。

 原告団、支援する会は、引き続き公正判決要請署名への協力を呼びかけている。

 http://fukushimakyoto.namaste.jp/shien_kyoto/





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