2018年01月26日 1511号

【山形・米沢住宅追い出し訴訟 第2回口頭弁論 住宅追い出しは人権問題だ】

 原発事故で福島県から山形県米沢市の雇用促進住宅に避難した区域外避難者8世帯を厚生労働省の外郭団体が訴えた住宅追い出し訴訟。第2回口頭弁論が1月12日、山形地裁で開かれた。大雪の中、昨年11月の第1回口頭弁論に続き60人を超える支援者が傍聴にかけつけた。

 被告とされた避難当事者の求めで、短時間ではあったが意見陳述が行われた。武田徹さん(76)は「福島の土壌は放射性物質によって今も汚染されたまま。避難世帯は小さい子どもを抱えたお母さんが多く、みなさん生活が大変だ。国と福島県に住宅支援を再開するよう求めたい」と訴えた。

 代理人の弁護士は、昨年11月の国連人権理事会審査で日本政府に「自主」避難者への支援継続が勧告されたことを取り上げ、住宅追い出し訴訟は人権問題だと指摘した。

 傍聴抽選に外れた支援者は「ひだんれん」が呼びかけた裁判所前スタンディングアピール行動に参加。「奪うな!原発事故被災者の住まい」のプラカードをかざすと、クラクションで応える車や手を振るドライバーの姿もあり、地域に避難者住宅問題が浸透してきている様子が伝わる。

次回は3月20日

 報告会には、被告とされた女性をはじめ山形県平和センターやさよなら原発米沢、東京・神奈川の避難者・支援者ら60人が集った。

 提訴の当事者性が問題視されている「高齢・障害・求職者雇用支援機構」は今回、住宅管理会社「ファースト信託」を後付けで原告に加え、見切り提訴のずさんさを露呈した。井戸謙一弁護士は「国も福島県も姿を隠し、“民民”間の問題にされようとしている」と批判。海渡雄一弁護士は「住宅の公的性格を際立たせ、避難世帯への補助打ち切り政策が正しいものか、争点にしたい」と語った。

 支援者から「ひだんれん」の武藤類子さんは「被ばく年間20ミリ以下のところは帰って来いと帰還政策が強要され、福島では人権侵害の状況が生まれている」と報告。村田弘さんは「福島県と交渉継続中なのに、経過を無視して強制的に排除しようとするのはひどい」。避難の協同センターの瀬戸大作さんは、反対署名が1万5千筆集まったことを伝え、「福島県に要請したい」と決意を述べた。

 被告の女性は「こんなに多くの支援者や弁護士が遠くからもやって来てくれて、私たちだけのことかと思っていたが、すごく励まされる」と語っている(詳報次号)。

 次回は3月20日。また、次々回で裁判長が交代することが明らかにされた。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS