2019年06月07日 1578号

【第2空港建設反対でハンスト 代案文化連帯ユ・ミヒさんがアピール 平和の島、済州が 軍国主義・資本主義と死闘】

 6月1〜9日の日韓連帯スピーキングツアーに来日するノ・ミンギュさんら済州(チェジュ)第2空港建設反対の市民は、済州道庁前のテント村で闘いを続けている。5月19日、代案文化連帯ユ・ミヒさんが激励。その場で行った連帯アピールを日韓軍縮平和共同行動のフェイスブックから紹介する。(翻訳は編集部)

 済州島は美しい。火山島特有の土、石、草木、オルム(寄生火山)、そして海があわさってつくりだされる色彩と風景は、それ自体が神秘で癒しだ。はじめて済州島の風景に出会った時の驚きを私は忘れない。そこが「4・3(ササム)」(注)という残酷な歴史の現場だったことを忘れてしまうほどだった。

 済州島が極悪な資本主義と軍事主義の暴力によって破壊されている。極悪な国家暴力によって江汀(カンジョン)村が破壊され、海軍基地が造られ、全世界から原子力潜水艦をはじめとする軍艦が頻繁に出入りして生活を危険にさらす。軍隊の危険性を隠そうと、基地を観光資源化して江汀にショッピングモールを建てるとし、「子どもの日」となれば子どもたちに軍隊体験と称し、銃や大砲のおもちゃを握らせている。

 今、済州島のあちこちで掘削機の音、木を切る音が止まない。「済州の息子」と自称する道知事は、自分の権力を守るために開発業者と土豪(地方の豪族)勢力の利権を守る先頭に立っている。樹齢数百年の木を切り森をなくした。世界的な癒しの森「ピチャリム」はこうしてなくなった。第2、3のピチャリムがいつ出てくるか分からない危機に置かれている。地価は上がるが、投機資本だけが儲け、済州島の人々は生活の基盤を失っていく。観光客が増えるほど、ゴミが増え森や岩が減る。済州島はすでに飽和状態にある。

 ところが済州道知事は年間3500万〜4500万人の観光客を迎えるために、済州第2空港を造らなければならないと言う。大韓民国の人口は5000万だ。1年に大韓民国の人口ほどの人びとが済州の地を踏むために、世界自然遺産のある城山浦(ソンサンポ)に空港をもう一つ造ろうとしてる。空港だけではない。道路を造り、ホテルや娯楽施設を建てれば、どれほど多くの森林や岩を破壊するだろうか。

 また、城山浦に造る済州第2空港は、名分は観光客誘致のためというが、裏には江汀村の海軍基地とともに米国のMD(防衛ミサイル)戦略を構成する空軍基地となるだろう。済州島は沖縄、台湾とともに、東アジアにおける米国の対中国防衛のための軍事拠点になるだろう。


 癒しの島、済州島が軍事基地になっていく。沖縄がそうだったように。

 済州島を平和の島として守ることは、東アジアの平和を守ることである。済州島を平和の島に守ることことは、資本の貪欲に抗し、自然と人を守り抜くことである。

 済州道庁前で人々が断食をしてテントで座り込んで闘う理由だ。

(注)4・3(ササム)事件 1948年、韓国軍・警察、右翼勢力による済州島民虐殺事件。人口28万人のうち3万人が犠牲になった。本紙1575号「たんぽぽのように」参照。





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