2019年06月14日 1579号

【ZENKO スピーキングツアー 奥間政則さん報告要旨 両親は戦争とハンセン病の犠牲に 琉球弧全体が要塞化される】

 「東アジアに平和を!武力なき平和のための2019ZENKOスピーキングツアー」東京集会(6/2)で沖縄県大宜味村(おおぎみそん)在住の土木技術者、奥間政則さん(沖縄ドローンプロジェクト分析担当責任者)が行った報告は以下の通り。(編集部の責任でまとめました。4・5面に関連記事)



 私は土建屋です。土建屋が全部、基地に加担しているわけではない。ダンプ運転手の中にも、われわれに手を振ってくれる人がいる。私自身も1995年、少女レイプ事件の米兵が所属するキャンプ・ハンセンで工事責任者として働いていたのに、事件を全く知らなかった。仕事に没頭していて無関心だった。その私がこうしてここにいる。人は変わる。変われるんです。

 私の両親はハンセン病だったが、一切ハンセン病の話をしなかった。家族まで差別される現実があるからだ。私が生まれたのは、全国に14あるハンセン病の施設で唯一、断種・堕胎がなかった奄美大島の施設。隔離政策は国策として行われていた。

 戦後のハンセン病罹患率を比べると、沖縄が断然多い。地上戦の中を逃げまどって免疫力が低下したためだ。戦争とハンセン病はつながっている。両親は戦争で苦しい思いをし、戦後はハンセン病で差別・偏見を受けてきた。

 今、国策として沖縄に基地が押しつけられている。琉球弧(南西諸島)全体が軍事要塞化されつつある。

 高江のヘリパッドをドローンで撮影すると、オスプレイの爆風の影響で芝生が焦げ、イタジイの木々が枯れ始めているのが分かる。宮古島では駐屯地の工事がほぼ完了し、自衛隊が配備され、民間地で軍事訓練を始めた。石垣島ではゴルフ場跡地と優良農地にミサイル基地と弾薬庫ができる。天然記念物カンムリワシの生息地に基地をつくる。

 宮古島には「地下ダム」があり、たまった水が飲料水や農業用水に使われる。一方、建設が進む弾薬庫・給油施設の下には活動性の疑いのある断層が走っている。

 辺野古では、K8護岸を250bまで延ばして土砂の陸揚げに使おうとしている。現在のK9護岸と合わせて陸揚げが2か所になれば埋め立てが加速する。これを止めるのが「GoGoドライブ」。土砂を積み出す安和桟橋前の国道を普通に車で走るだけで搬出を阻止できる画期的な行動だ。車が次々通るとダンプは埠頭から出られず、渋滞を起こす。運搬船に積むためのベルトコンベアも停止する。

 軟弱地盤改良の「サンドコンパクションパイル工法」は羽田や関西空港で実績があるが、関空は沈んでいる。土質が粘土だからだ。ピサの斜塔は片方が砂の地盤、もう片方が粘土の地盤のため傾いた。ヘドロ状の海底に砂杭を振動させながら打ち込めば、泥土が舞い上がり、濁り水が広く拡散するのは止められない。

 活断層の存在も明確になった。立石雅昭新潟大名誉教授(地質学)らが現場を調査し、近く報告書をまとめて県に出す。NHK沖縄も「活断層の可能性」と報道した。しかし、政府は閣議決定で活断層の存在を否定している。

 埋め立て承認の撤回は、徳田博人琉球大教授によると、正当な理由があれば何回でもできる。問題は県がどれぐらい頑張れるか。知事が「あらゆる手段で辺野古を止める」と言っても、実際に手段を講じるのは各部署の技術屋。しかし、政府側を向く職員や仲井真の残党もいる。

ドローン規制は隠ぺい

 ドローン問題であす(6/3)、防衛省と交渉する。沖縄防衛局が作った資料をもとに質問し、逃がさない。汚濁防止膜の設置個所はすき間だらけ。しかも水面から一律7bしかなく、それより深いところは膜の下から濁りが拡散する。私も、古宇利(こうり)大橋の工事を担当していたとき、施工時に潮の流れが速くて防止膜が浮き上がり、濁り水を流出させる経験をした。あす追及する大きなポイントだ。

 警察庁がドローン対策に新機材を配備するというニュースをNHKが流した。ドローンの電波をキャッチし妨害して撃ち落とす「ジャミングガン」で、2`先のドローンまでとらえることができる。

 改悪ドローン規制法は、米軍への提供水域の中でドローンを飛ばすなと言う。辺野古の現場から最短でも3・9`離れてしまう。濁り水が発生しても見えない。ジュゴンの餌場が破壊されても分からない。これがドローン規制の狙いだ。テロやオリンピックは表向きの理由でしかない。



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