2019年06月14日 1579号

【済州第2空港は空軍基地/生活と自然を破壊する乱開発/民意・人権を無視するな/ノ・ミンギュさん報告要旨】

 済州(チェジュ)島は韓国唯一の世界自然遺産がある火山爆発の溶岩でできた美しい島。しかし、乱開発による自然破壊・生活破壊に苦しめられ、軍事基地の島に変えられつつある。

 島の東部に第2空港がつくられようとしているが、すでに国際空港がある狭い済州に空港は2つもいらない。2018年10月、島の南端・江汀(カンジョン)の海軍基地で国際観艦式が行われ、米原子力空母ロナルド・レーガンが寄港した。第2空港が実は空軍基地であり、済州が軍事基地となり、韓国が米国のMD(ミサイル防衛)体制に編入されることを国際的に宣言する場だった。韓国軍は、今後5年間で270兆ウォン(約27兆円)が投入され、「海洋強国・大洋海軍(=世界中に進出)」をめざしている。

 70年前、国家暴力によって3万人の済州島民が虐殺された(4・3(ササム)事件)。時がたち、60年代から開発が進み、2002年には「国際自由都市」とされたが、その自由とは規制緩和で世界の大企業が入ってきやすくし、済州を「新自由主義の実験場」にするものだ。済州は古くは「耽羅(タムナ)」という独立国だったが、琉球国が無理やり日本に帰属させられたように、13世紀に本土(高麗)の支配下に置かれた。今も米国と大韓民国の二重の植民地だ。4・3事件は終わっていない。

 住民は国際観艦式に対し、「NO WARSHIPS(軍艦はいらない)」「ユネスコ生物圏保存地域破壊反対」と闘いに立ち上がった。カヤックで海上抗議。「10年の葛藤を100年の慟哭にする文在寅(ムンジェイン)政権の欺瞞を糾弾する」横断幕も掲げられた。

 第2空港も、無期限断食や道庁前テント設置、道庁舎階段座り込みなど決死の行動で元喜龍(ウォンヒリョン)道知事に撤回を迫る。「営利病院NO!」のスローガンも。病院民営化は「お金のない人は死ね」と言うに等しい。歌や踊りのパフォーマンスを繰り広げた。警察・道職員による暴力的排除・弾圧は光州(クァンジュ)5・18(1980年)を思い起こさせるが、住民は屈しない。撤去されたテントは復活し、引きずり出された階段に再び座り込む。

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