2019年06月21日 1580号

【阪神・市民放射能測定所6周年の集い 子どもと私の健康を守るために被ばくの真実に向き合おう】

 阪神・市民放射能測定所を兵庫県西宮市に開設して7年目になります。

 市民測定所は、その多くが、市民の手に科学を!と原発事故後、全国各地に開設されました。食品をはじめ土壌や肥料、衣類など多くの測定を行い、結果を公開してきました。

 事故から9年目に入っても、土壌汚染の実態は依然厳しく、放射線管理区域レベルの場所は今もなお東日本の一部に広がっています。食品類のセシウム汚染は、濃度は減少傾向ですが存在しており、スーパーにも流通しています。一方、政府は原発事故による放射線被害は全くないとして、安全安心キャンペーンを行い、測定所の活動や低線量被ばくの危険性を主張する専門家たちを風評被害と福島差別を助長するものと非難しています。

 しかし、事実は被ばくによる健康被害の増加であり、風評被害ではなく実害です。新たな安全神話≠ヘ人びとを被ばくさせ続け、命の危険にさらす犯罪です。

健康被害の真実

 私たちは測定所6周年企画として、ウソを見抜き、事故を風化させないためにも子どもたちの命を守るためにも健康被害の事実に私たち自身が向き合っていこうと5月25日、西宮市内で集いを開催しました。約60名の方が参加し、関心の高さに希望を感じられるものになりました。

 1部は、「安全神話のウソを見抜き、被ばく・健康被害の真実に向き合う」と題して、渡辺悦司さん(市民と科学者の内部被曝問題研究会会員)に講演していただきました。

 渡辺さんは、原発事故放出放射線による健康被害について、統計資料を基に次のような事実を明らかにしました。

 ―原発推進側であり被ばく影響を過小評価するICRP(国際放射線防護委員会)でさえ被ばく量に応じて被害はあるとするが、日本政府と政府側の専門家は全くないとウソをつき、データの捏造や改ざんを行う。帰還施策やオリンピックなどで、より多くの人たちを被ばくのリスクに晒そうとしている。最近の知見では、健康被害はがんのみならず、心筋梗塞、認知症など様々な病気が増加しており、また、複合的な要因も重なって運転事故が増加し、子たちの精神的発達にも影響が生じているのではないか―。

 2部では、関東圏に住んでいて、実際に子どもが体調を崩し、兵庫県に避難してきた体験をお話ししていただくなど、講演を裏付けるような交流になりました。

 参加者の感想でも、政府の対応への怒りが多く寄せられ、声を上げていこうと新たな決意のわく集まりになりました。

 なお、国がやらない測定を市民測定所のネットワークで力を合わせて測定し、作成したのが『図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集』(みんなのデータサイト出版)です。阪神・市民放射能測定所でも購入できます。 

 連絡先:shs.hanshin@gmail.com ブログ:http://hanshinshs.blog.fc2.com/

(阪神・市民放射能測定所 安東克明)

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