2019年06月21日 1580号

【世界平和を東アジアから/スピーキングツアーは日韓市民連帯の闘いを広げ、より強くした】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が取り組んだ「東アジアに平和を」と訴えるスピーキングツアーが、6月1日札幌から始まり、9日大阪で幕を閉じた。沖縄で新基地建設と闘う奥間政則さん、韓国済州島(チェジュ)で基地建設に反対するノ・ミンギュさんは全国6会場で最新の情報を報告(要旨は、札幌・東京集会内容あわせ前号に掲載)。集いには沖縄、韓国に連帯しようと多くの市民が足を運んだ。平和と民主主義をめざす闘いは地域で闘う人びとと新たなネットワークをつくった。各地での集会を紹介する。

大阪 朝鮮敵視、連帯労組弾圧をはねのける闘いが東アジアの平和に

 ツアーを締めくくる大阪集会には約300人が参加。会場は溢れんばかりだ。

 ハンセン病と沖縄への差別と闘う奥間さんを貫くのは、国策で犠牲を強いられた怒りだ。各会場で全力でその不合理を訴えてきた。ツアーの感想を問われた奥間さんは「いいツアーだった。政府が恐れているのは、民衆が立ち上がること。みんなで辺野古を止めましょう」と強調した。

 ノさんの感想は「全国で沖縄の基地反対の運動が広がっていることに感動した」。済州島での行政や警察による度重なる弾圧に「知事や警察は誰のために存在しているのか、民主主義はあるのか」と問うノさんは「4・3事件は終わっていない」と報告をまとめている。差別を受け続ける済州島への連帯を強く求める気持ちが伝わってくる。

 連帯のアピールは在日朝鮮人大阪府教育会の金徳範(キムドッポン)副会長。高校無償化の対象から外されている朝鮮高級学校。さらに10月からの「幼保無償化」から幼稚部も外されたことに怒る。あくまで朝鮮敵視を続ける安倍政権に対し、「地域から日本を、日本からアジアの平和を創り出していく」と語った。

 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の福島聡執行委員は、組合活動への弾圧は市民への弾圧だと訴えた。「おまえら、沖縄にも行っとるだろ」。拘束した組合員に取り調べ刑事が浴びせた言葉だ。警察が府県の枠を超えて沖縄連帯の先頭に立つ労働組合を狙い撃ちにしている。福島さんは「警察に脅されようとも、沖縄の反基地や反原発の闘いへの連帯は止めない」と力強く語った。

 安倍政権を打倒するには参院選勝利は欠かせない。社民党・参院選比例代表予定候補の大椿裕子(おおつばきゆうこ)さんが決意を表明した。「小さな労働組合で、非正規労働者の運動に取り組んでいた私に与えられた機会を、支援してくださるみなさんとともに活かしていきたい」

 最後に、平和と民主主義を求め闘う市民が総結集する場、ZENKOin東京への参加が呼びかけられた。




京都 京都でも自衛隊基地、米軍基地強行/自治体意見書運動を市民とともに

 6月8日、京都会場には100人以上の市民が集まった。名護市の大城敬人(よしたみ)市会議員も来場。名護市作成の基地問題パンフレットを持参した。

 基地建設に自治体がどんな立場を取るのかは重要だ。京都府向日市では「沖縄の民意を尊重し、辺野古の新基地建設を強行しないことを求める意見書」を昨年12月の本会議で採択した。意見書の提案者杉谷伸夫市会議員がともに運動をしている支援者とともに壇上にたった。

 沖縄県民は知事選や県民投票などで新基地建設反対の意思を何度も明確に表してきた。民意が踏みにじられる事態を地方自治、民主主義の危機と捉え、「我が事として考える議員を広げたい」と決意が示された。

 大津市議会に意見書採択を迫った中川哲也さんも同じ思いを語った。我が事と出来ない議会を変えようと4月の市議選に挑戦したが23票差の次点。野党と市民の共闘を強め参院選勝利への意気込みを語った。

 京都でも米軍基地建設が強行されている。日本海に面した京丹後市に航空自衛隊の基地とともに米軍Xバンドレーダー基地が建設された。6年前の配備決定以来反対運動を続けている「京都連絡会」の福井謬子(きよこ)さんは「沖縄、韓国の報告を聞くと、Xバンドレーダー基地が丹後半島にある意味がよくわかる。東アジアの平和のために何をしなくてはならないのか、胸にしみた」と発言。米軍基地では2期拡張工事が続いている。「北の脅威」を口実とした日米韓軍事同盟強化の姿があらわになっている。

 6月22日に「基地のない平和な沖縄・日本・東アジアを!」と題した集会が予定されている。沖縄県民投票の実現に尽力した元山仁士郎さん、Xバンドレーダー基地撤去を闘う永井友昭さんが発言する。

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