2019年06月28日 1581号

【1581号主張 アベ政治の醜悪さ示した年金問題/市民の怒りで参院選勝利へ】

「老後2千万円」で動揺

 「公的年金以外に老後に2千万円が必要」とする金融庁の報告書に、参院選を前にして安倍政権が慌てふためいている。07年、第1次安倍政権時に5千万件以上の「消えた年金」「宙に浮いた年金」問題が発覚。自民党は同年の参院選で惨敗し、09年の政権交代の一因となった。鬼門である年金問題の火消しに躍起の安倍は、報告書を「不正確で誤解を与えるもの」と否定。麻生金融担当大臣は受け取りを拒否し「報告書はなくなった」とまで言い放った。醜態をさらす安倍政権に、世論の反発が一層強まり、6月16日、都内で行われた年金返せデモに2千人の市民が集まった。

 今回の報告書は、安倍政権が掲げる「人生100年時代構想」を具体化したものに過ぎない。昨年6月、未来投資会議(議長は安倍)が、「私的年金制度の普及・充実」「老後の資産運用・取崩しを含めた資産の有効活用」などを積極的に行う方針を決定。6月7日に公表された自民党の参院選公約にも、「年金受給開始時期の選択の拡大、私的年金の活用促進等を進めます」と、報告書と軌を一つにする方針を明記。掛け金は払え、年金に頼るな、死ぬまで働け―これがアベ政治の一貫した政策なのである。

グローバル資本のための公約

 自民党の公約には、年金だけでなく、憲法改悪、消費税10%引き上げ、辺野古新基地建設、原発再稼働などグローバル資本のための政策が並ぶ。公約公表の1週間前、経団連の総会に出席した安倍は「経済最優先でかじ取りを行いながら令和の時代にふさわしい構造改革を成し遂げることが安倍内閣の使命である」とあいさつ。市民・労働者に対する搾取を強化し社会保障を切り下げることで、大軍拡と大企業のぼろ儲けを推進しようというのだ。「99%」の富を「1%」にかすめ取らせてはならない。命・暮らしを削られるのはもうたくさん、の声を一層大きく広げ、安倍政権を退陣に追い込む時だ。

根本的変革の展望掲げ

 来たる参院選は、安倍打倒の絶好のチャンスだ。立憲野党が最低限、前回16年の41議席と同程度の結果を得れば、改憲勢力を3分の2未満に抑え込み、改憲発議を阻止できる。安倍の引責辞任も射程に入る。立憲野党は32ある1人区すべてで候補者を一本化することを決定。市民連合の要望を受け、9条改憲阻止、消費税増税中止、辺野古新基地建設中止、原発ゼロ実現など13の共通政策にも調印した。この動きを支持し、さらに根源的な変革、民主主義的社会主義を掲げて、野党共闘を強化・発展させよう。

 年金問題では、基礎年金である国民年金が月額6万5千円で、地域によっては生活保護水準を下回る。「月額5万円の赤字」「2千万円貯蓄」どころの話ではない。膨大な保険料滞納(約3割)・免除者(約600万人)を見ても、現行の社会保険方式の限界は明らかであり、税方式による最低保障年金制度の確立こそが必要だ。財源は、もちろん消費税ではなく、所得税や法人税の累進性の強化など、税制度の民主的改革によって確保すべきだ。

 アベ政治に代わる、希望と展望を示す6・30MDS集会に結集し、参院選に勝利しよう。

   (6月17日)
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