2019年06月28日 1581号

【参院選勝利で政治を変える/生活破壊のアベ腐敗政権に怒り/「自分らしく暮らせる明日へ」共闘で希望を】

 安倍政権は衆参同時選挙を回避した。ごまかしと腐敗の極みを見せつける安倍政治を終了させるために、参院選に勝利しなければならない。そのために何が必要なのか。問われているのは新自由主義のもたらした社会的不公正の解消、非民主的政治の立て直しだ。選択できる政策を示し、より多くの主権者が政治参加すること、民主主義の徹底だ。

醜態続く安倍政権

 安倍晋三首相は、世論調査をもとに国会解散、衆参同時選挙のタイミングを計ってきた。同時選効果で勝利しようとの思惑があった。だが、ここにきて同時選を見送った。内閣支持率が安定しているからだという。しかし、自民党内では、衆参同時惨敗を懸念する声も上がっている。「老後2000万円」問題や経済特区秘密ヒアリングなど、醜態続きの安倍政権に勝算があるとは考えられない。

 だが内閣支持率は落ちていない。NHK世論調査では、5月、6月とも支持率48%に対し不支持率32%、16ポイントの差を維持した。支持する理由は「他の内閣より良さそう」(49%)が最大となっている。どんなにウソやごまかし、不誠実な答弁を続けても「他の内閣」より良いと回答する人が4人に1人いる。

 政策についての問い(6月調査)では、日米貿易交渉で日本側の主張は「守られない」、イラン訪問は緊張緩和に「つながらない」、景気回復は「続いていない」、消費税率10%への引き上げに「反対」が多数意見だ。安倍政治はことごとく評価されていない。他の世論調査でも安倍政権に対する評価は、ほとんど同じだ。政策には「反対」だが「支持」する状態が続いている。

 「支持」の最大の理由となっている良さそうではない「他の内閣」とは何か。安倍が「悪夢」と罵るかつての民主党政権である。09年から12年まで政権に就いた民主党。沖縄普天間基地県外移設を反故(ほご)にした鳩山由紀夫、福島原発事故に右往左往した菅直人、消費税増税に道をつけた野田佳彦、「だめ総理」のイメージが定着している。だが、造反する幹部官僚に包囲された民主党政権より忖度官僚が悪事をはたらく安倍政権がましなはずがない。世論調査結果は安倍を持ち上げ批判を控えるマスコミの効果であり、自民党の固定票が表れたものだ。

政策合意で共闘

 自民党の固定票はほとんど変わっていない。民主党に惨敗し、安倍1次政権が退陣した09年の衆院選挙では、小選挙区合計で2730万票を集めている。ところが自公で3分の2を制した17年衆院選でも2650万票だ。実は、投票総数が09年の7200万票(投票率69・3%)から17年は5695万票(同53・7%)に減っている。総数で1500万票減っても、自民は80万票しか減っていない。やはり、「何があっても自民党」票が有権者の4人に1人の割合で存在することがわかる。

 野党が勝利するには、自民党票を圧倒する支持票を得る以外にない。棄権に回っている数千万人の人びとが投票所に足を運ぶことだ。

 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が立憲野党の政策に対し、「だれもが自分らしく暮らせる明日へ」と題する13項目の要望書を出した。立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会民主党、社会保障を立て直す国民会議の代表者は5月29日、「要望を受け止め、参院選勝利に向けて、ともに全力で闘う」と署名した。

 どんな合意か(表1)。1つ目は「安倍の9条改憲反対、発議させないために全力を尽くす」。それには、立憲野党が3分の1以上を占める必要がある。今回改選数124のうち38議席以上を獲得することだ。1人区32(6年前は31)のうち、現在自民党が29。今回、すべての1人区で野党統一候補が実現した。全区で勝利しなければならない。

 「改憲阻止」は当然としても、それだけでは投票数の増は限られる。09年のような劇的な変化を作り出すには、「他の内閣」の失敗で政治変革をあきらめた層がもう一度希望を持てる政策がいる。

 3年前の参院選挙で、有権者はどんな政策を重視し投票したか(表2)。医療・年金などの社会保障(53%)、景気・雇用対策(45%)、子育て支援(33%)などと続く。有権者の関心が経済・社会保障にあることは、他の国政選挙でも同じだった。今、年金や景気に対する関心は一層高まっている。社会保障、雇用でのより具体的な政策提示が必要なのだ。

民主主義を取り戻す

 市民連合の政策では、「消費税率引き上げ中止、税制の公平化」「保育・教育・雇用に関する予算の飛躍的拡充」「最低賃金『1500円』、貧困・格差の解消、公営住宅の拡充」が並ぶ。

 政策としての具体化は不十分ながら、大きくアピールすべきポイントだ。自民党は「景気悪化」が明らかなのに「消費税増税」をおろすことはできなくなった。野党は消費税増税中止とともに、より具体的な不公平税制の改善案(法人税減税措置の廃止など)を示すべきだ。不況の原因は個人消費の激減にある。政策として労働者の賃金水準を上げることができる最低賃金の大幅アップは欠かせない。

 今世界的に表れている雇用不安(非正規など不安定雇用)や社会保障費の削減は新自由主義政策がもたらしたものだ。一部の強いものが自由に「恩恵」を享受する。これへの対案は徹底した民主主義であり、富の公平な分配システムだ。欧米では緊縮政策(社会保障の切り捨てなど)に反対する運動が政治変革の核となっている。民主主義的社会主義者の掲げる政策が市民に支持を広げている。

 安倍政権は末期症状を呈している。年金、賃金統計、報告書の隠蔽・改ざんに加え、国家戦略特区を使い、支援者に便宜供与をはかる腐敗政権が支持されていいわけがない。

 有権者の怒りを呼び覚まそう。政治は変えられる。生活破壊の政策でなく、だれもが自分らしく暮らせる政策を選択できる希望を示そう。怒りと希望、これが参院選勝利の鍵となる。

 
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