2019年06月28日 1581号

【みるよむ(522) 2019年6月15日配信 イラク平和テレビ局in Japan バグダッド市民に聞く イラク占領16周年】

 2019年3月、イラクは米軍を中心とする「有志」連合軍による占領から16周年を迎えた。サナテレビは、多国籍軍による占領によってイラク社会はどのように影響を受け、変わってきたのかについて、バグダッド市民から意見を聞いた。

 イラク戦争から16年。読者の中には、あまり記憶に残っていない方もいるかもしれない。しかし、この侵略戦争と占領の傷跡は今もイラク社会と中東全域に深刻な影響を与えている。

 最初に登場する劇場支配人の男性は、イラクの100年間の近現代史をたどる。1917年のイギリスによる占領や1948年の民衆蜂起の時の弾圧、そして1958年の王政打倒後に登場したサダム・フセイン独裁政権。自由と平等を求める民衆は多くの苦難に直面してきた。中でも決定的だったのがイラク占領だ。男性は「米軍が2003年にやってきて私が望んでいたすべてを破壊しました」と述べる。アメリカは腐敗した政治家連中をイラクに押し付けてきた。

 次に登場する市民も同様に「アメリカはイラクを破壊し国民の抗議行動を解散させた」と批判する。「自由と民主主義」をもたらすとしてやってきたが、実際は大量の失業者を作り出し、社会福祉も教育も荒廃させたのが占領の実態だ。

 ある市民活動家は「占領軍はイラク社会と民衆の富を支配するためにやって来たのです」と指摘する。アメリカのみならず、占領に参加したイギリス、オランダ、オーストラリア、日本、韓国も、石油の世界的大産地であるイラクから膨大な利潤を獲得している。

自由へ立ち上がる市民

 しかし厳しい現実に対し、この男性は「私たちは、金持ち優先の経済形態を拒否することによって占領に反対し、自由と平等を強く求めています」語る。占領初期やそれ以前の時代とは全く違い、労働者、市民、若者、女性たちが、グローバル資本とそれに結託する腐敗政府に対する闘いを続け強化しているのだ。

 占領から16年たっても、イラク市民には飢餓や貧困が広がっている。グローバル資本と政治家、イスラム主義勢力が石油資源を支配している。サナテレビはこの実態を市民の声を通じて伝え、本当の自由と平等を獲得するために社会変革を呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



 
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