2019年07月05日 1582号

【参院選勝利で政治を変える(2)/戦争政策か、市民生活か】

 自民党は6月2日に発表した参院選選挙公約23項目の最後に改憲を掲げた。「条文イメージ」として明示したのは(1)自衛隊の明記(2)緊急事態対応(3)合区解消・地方公共団体(4)教育充実の4項目だ。

 これに先立つ5月29日、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合は、参院選に向けて立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会民主党、社会保障を立て直す国民会議の4党1会派と政策協定を結んだ。その筆頭は、安倍改憲反対・改憲発議阻止であり、次が安保法制・共謀罪廃止だ。そして、軍事費削減、辺野古新基地建設中止・普天間基地早期返還と続く。安倍の戦争政策に真っ向から対決する。

いつ、どこででも武力行使

 安倍は歴代政権の政策を変更し集団的自衛権行使を容認することを閣議決定。続いて「安全保障法」=戦争法を強行可決した。戦争法は様々な理由をこじつけて、海外派兵・武力行使を可能とする。

 「存立危機事態」なるものをでっち上げ、シーレーン防衛や軍事同盟国の軍隊の戦闘行動であっても「自衛」の名で海外派兵・武力行使を可能とする。PKO(国連平和維持活動)で、他国軍隊への「駆けつけ警護」も解禁した。国連決議抜きの多国籍軍による武力制裁に自衛隊が参加する道をも開いた。

 戦争法下の海外派兵は時・所を選ばない。防衛大綱では自衛隊の活動は、地球の裏側どころか宇宙空間・サイバー領域にまで及ぶ。
 戦争政策遂行には、国内統制が不可欠だ。秘密保護法で情報を隠ぺいし、共謀罪創設で市民監視を強化。政府方針に反対する者を強権的に抑え込む。

改憲は戦争政策総仕上げ

 安倍戦争政策は平和主義・主権在民・基本的人権尊重を定めた憲法に反する。自衛隊の海外武力行使は、どんな理由をつけても許されるものではない。政府の情報隠しや強権的市民弾圧は、市民による政府のコントロールを不可能とし主権を奪うものだ。

 現に沖縄では、主権はく奪が行われている。

 国頭村(くにがみそん)高江の米軍ヘリパッド建設で、安倍は全国から機動隊を動員し、工事阻止のため非暴力の座り込み行動を展開する市民に暴行を加え蹴散らした。参加者の不当逮捕・長期拘留・家宅捜索で恫喝し反対運動の広がりを抑え込もうとした。辺野古新基地建設では、民意を受けた沖縄県による再三の工事中止の行政指導を無視し埋め立てを進めている。

 これら立憲主義破壊を合憲化する総仕上げとして目論まれているのが9条改憲と緊急事態条項創設だ。

選択は「戦争か、人権か」

 憲法第9条に自衛隊の存在を書き込む安倍の狙いは、戦争法を合憲化し、憲法の定める基本的人権を破壊して軍事優先を貫くことにある。

 安倍は海外派兵のための攻撃兵器調達に膨大な予算を費やし、社会保障・教育・医療は抑制・削減している。青天井の軍事費を賄うために生存権や幸福追求権はないがしろにすることだが、安倍改憲の下では単なる政策選択の問題となる。そして、戦争や大規模災害を口実にした緊急事態宣言で基本的人権を停止する。

 自民党は憲法審査会での議論の停滞に業を煮やし、「参院選は憲法議論を前進させる議員を選ぶのか、議論そのものに反対する議員を選ぶのか」の選択であると有権者に迫る全国一斉街頭宣伝を展開している。だが、選択すべきは「軍事か、人権か」だ。立憲野党・会派は参院選ですべての1人区で候補者を一本化することに合意した。市民と野党の共闘を一層広げ、改憲派議席の3分の2割れに追い込まねばならない。



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