2019年07月05日 1582号

【高等教育無償化へ 新宿でリレースピーチ/伝えたい。私たちの言葉。】

 大学や専門学校の学生らでつくる「高等教育無償化プロジェクトFREE」は6月23日東京・新宿アルタ前で、昨年9月から取り組んできた学費・奨学金実態調査アンケートの結果を発表するイベントを行った。

 題して「伝えたい。私たちの言葉。」―この日までに集まった7449人の回答のうち入力が間に合った6226人分について集計・速報するとともに、リレースピーチで高すぎる学費の実態を訴えた。

 集計結果では「大学や学部の選択にあたり学費を判断基準にしたか」の問いに「した」58・9%、「アルバイトのため負担になっていることは」に「学習時間が削られる」47・5%、「睡眠時間が削られる」46・1%。また、「仕送り・小遣いゼロ」が33・4%、「通学に往復4時間以上」も6・1%あった。

 メンバーの学生たちが次々にマイクをとる。「国公立大に落ち、学費の高い私立に通うことに。両親に申し訳なく思った。大学に行くのになぜ申し訳ない、うしろめたいと思わなきゃいけないのだろう」「友達が『わがままを言うと給付型奨学金を増やしてほしい』と。“わがまま”じゃない。奨学金は学生を応援するためにあるのに、今はただの借金。あり得ない」「奨学金を借り、生活費のためにアルバイトしている。ヘトヘトになり、精神的にも体もきつくて『ああどうしよう』と思う時も。奨学金返済を考えると、さまざま可能性や選択肢が狭まるように感じる」「年間100万円の学費負担は高所得世帯でもつらい。線引きする必要はない。全員分の学費値下げができる財源はある」「東京芸術大の学費が値上げ。私たち学生には何も知らされなかった。4千人の署名を集め説明を求めたが、答えは『授業料改定の理由は本学ウェブサイトで説明している通り』」…。

 「無償化が実現すれば、大学での学びが発展し、社会全体も豊かになる。学びたいという思いをどんどん集めて世の中を変えていきたい」とのスピーチには大きな拍手が寄せられた。一方、最後の登壇者が「私は去年まで大学生でした。過去形なのは授業料が払えず除籍になったから」と語り始めると、聴衆の間に緊張が走る。「奨学金は借りなかった。返せる自信がなかった。高給料の仕事に就くことを将来の自分に保証できますか。私の最終目標は7年後には学費無償化が実現すること。10歳離れた妹が希望をもって大学に行けるよう望んでいる」

 FREEは参院選に向けて候補者に政策アンケートを実施し、学費値下げに賛同する候補者を「FREEマーク」認定する予定。

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