2019年07月19日 1584号

【京都やましろ保養の家 スタート 避難者・地元一体で家族保養支援】

 「京都やましろ保養の家を守り育てる会」(以下、育てる会)は、夏休みから利用を開始する「京都やましろ保養の家」(以下、やましろの家)の受付を7月1日に始めた。

 さっそく1家族から申込書が届いた。栃木県から京都市内に母子避難していたが、帰還を余儀なくされている家族だ。今回は父親を含めて家族4人そろって保養に来ることになった。うれしい限りだ。

 育てる会は6月29日、やましろの家の見学会と開設記念のつどいを京都府相楽郡(そうらくぐん)精華町の現地で開催した。参加者は10人だったが、滋賀県、奈良県、大阪府からも参加があり、「家族保養」をコンセプトとする、やましろの家への期待の声が寄せられた。

 育てる会は、やましろの家の開設に向け、次のように呼びかけた。

 「原発事故により放出された放射能の影響を受ける地域に居住している人たちが、一定期間、放射能の影響を受けない地域で生活し、クリーンな空気を吸い、汚染されていない食品を摂取することで、放射能による健康への影響を低減させ健康回復につながることが、チェルノブイリ原発事故後の取り組みによって実証されています。福島原発事故後にも、放射能の影響を軽減させるための『保養キャンプ』などが全国各地でとりくまれてきました。2013年から(中略)健康相談会を開催してきた『避難者こども健康相談会』のメンバーから、福島県などに住む家族やグループが夏休みなどの期間に利用できる『保養の家を京都南部に作ろう』との声があがり、準備をすすめてきました」。また、畳や建具の修繕や生活用品の購入のために必要な資金として、40万円の開設資金カンパを訴えてきた。

 カンパは、開始早々に当初目標額を突破。「保養に来る家族に対する交通費の補助」を目的を加え、目標を80万円に引き上げた。6月30日までに77人から、74万円を越えるカンパが寄せられ、この夏から交通費補助も実施できることになった。協力していただいた方々に、心から感謝したい。

心よせ 力出し合う

 育てる会のスタッフには、福島から京都に避難している避難者(原発賠償訴訟の原告でもある)が3人加わっている。また、地元精華町在住の大学教員も新たに参加。奈良県生駒市(精華町の隣)在住の方も保養利用者へのサポート(車での送迎など)を申し出てくれている。

 やましろの家は、原発事故被害者に心を寄せる地元の方をはじめ、多くの方に支えられてスタートできた。実際の利用が始まると様々な課題もでてくると思うが、スタッフ・支援者が心を寄せ合い、力を出し合って乗り越えていきたいと決意している。

 ◆やましろの家の情報については、こちらをご覧ください。保養に興味・関心のある方にお知らせください。育てる会では、引き続きカンパを呼びかけています。

(京都やましろ保養の家を守り育てる会 奥森祥陽)

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS