2019年08月02日 1586号

【1586号主張 第25回参議院選挙 改憲勢力は敗北した】

改憲派3分の2割れ

 今回の参院選で自民党は改選議席を10議席下回り、比例得票数は2016年選挙より230万票減らし、1800万を切った。その結果、改憲勢力は参院で改憲発議に必要な3分の2を取ることができなかった。メディアは自公が過半数で勝利したと言うが、両院で持っていた3分の2の力を一方で失った。改憲勢力にとって大ダメージである。

 安倍は参院選で、改憲について「議論を進める候補者か、議論をしない候補者を選ぶ選挙だ」と主張。改憲の是非ではなく改憲論議をするか否かにすり替え、3分の2を得ようとした。それができなかった。改憲阻止、民主主義勢力にとって大きな勝利である。

 これをもたらしたのは1人区における野党共闘の成立、10人の当選である。辺野古新基地建設に反対する沖縄、イージスアショア配備決定のでたらめが暴かれた秋田、忖度(そんたく)発言で安倍政権の腐敗が誰の目にも明らかになった新潟など、焦点の選挙区で勝利した。

 MDSは参院選を全力で闘った。比例代表で社民党の大椿裕子、仲村未央を支持し、当選には至らなかったものの社民党比例得票率2%獲得の一翼を担った。選挙区では激戦の滋賀で野党共闘の嘉田由紀子勝利をかちとった。大阪の辰巳孝太郎、神奈川の浅賀由香は残念な結果となったが、徹底した電話かけなど情勢変革のために奮闘した。

変革の展望をこそ

 改憲勢力に3分の2を取らせなかったが、安倍政権を完全に追い込み打倒するまでには民主主義勢力は前進しなかった。それは多くの有権者が棄権したことによる。前回参院選の投票率54・70%を6ポイント下回る48・80%であり、24年ぶりに50%を切った。市民の多くが変革の展望を持てずに棄権したのである。

 これは安倍政権の戦略でもあった。メディアはこれほどでたらめをやりたい放題の安倍自公が過半数を取るという予測を流し、投票しても何にも変わらないと刷り込みを図り、多くの市民に変革不可能と諦めさせる。そして自公で固めた票で議席獲得を図る。

 この安倍戦略を打ち破るには、民主主義勢力は根本的変革の展望を大胆に語りかけるべきであった。アメリカでサンダースらが打ち出したメディケア・フォー・オール(すべての人の公的医療保険制度)、カレッジ・フォー・オール(学生ローン債務帳消し)という政策がその方向を示している。これはアメリカを支配するグローバル資本に負担を要求し、市民生活の根本的改善を図る政策である。

 今回の参院選で野党の共通政策に消費税増税反対、原発ゼロ、辺野古基地新設反対などが入ったが、これではグローバル資本の支配に対決するには不十分だ。金融取引に課税し消費税廃止、教育完全無償化に進むべきである。今回の選挙でれいわ新選組は改憲阻止を政策に掲げてはいないが、消費税廃止、奨学金チャラを訴え支持を集めた。

 我々は変革の展望を明確に示すことで、棄権した市民を積極的に民主主義的変革の闘いに獲得しなければならない。

執ような改憲策動

 安倍は改憲を諦めてはいない。7月21日安倍は「憲法改正に当然挑んでいきたい」と述べ、野党を分断して改憲論議を進めていく方針を示した。

 安倍の戦争改憲路線を許さず、世界の平和確立のために闘いぬこう。

   (7月22日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS