2019年08月09日 1587号

【沖縄とつながる歌舞団まつり/横浜市鶴見区/国籍・人種を超え、共に生きる社会を】

 沖縄出身者が数多く暮らす街、横浜市鶴見区のJR鶴見駅東口広場で7月21日、「鶴見・沖縄とつながる歌舞団まつり」が開かれた。「月桃の花」歌舞団が主催した。

 歌舞団エイサー隊がオープニングを飾り、実行委員長の青島みのりさんが開会あいさつ。「『月桃の花』歌舞団は“命どぅ宝”をスローガンに歌や演劇、エイサーを通して平和と命の大切さを伝えている。きょうは外国の方も多く住むこの鶴見で“多文化共生”“つながり”をテーマに人と人との交流のきっかけをつくりたいと企画した。最後まで楽しんでいってください」

 その言葉通り、さまざま国籍のさまざまなバックグラウンドを持つ人たちが多彩なパフォーマンスを繰り広げた。

 まず、1993年にフィリピンの文化運動グループ「テアトロ・パブリカ(工場演劇)」の一員として来日後、環境問題・社会問題のメッセージソングを送り続けているアリソン・オパオンさん。出身のミンダナオ島に伝わる腰布「マロン」の何通りもの使い方を披露し、友人のジョブさんとともに『平和な世界』『バヤン・コ(わが祖国)』などを歌う。

 続いて、鶴見を拠点とする「オハナフラスタジオ」の女性たちのフラダンス、ヒップホップグループ「2GROUND+THIRD EYE」によるヒップホップダンス、原発被害をモチーフにした阿部孝史さんの創作曲、エイサー本来の「型」を継承しその魅力を知ってもらおうと研鑽を積む「横浜エイサー沖鶴」の勇壮なエイサー、そしてもちろん「月桃の花」歌舞団の『ダイレクト』などの歌声…。足を止めて見入る人だかりは絶えることがない。

 締めは、在日ラテンアメリカ人と日本人からなるスペイン語・日本語バイリンガルの演劇グループ「セロ・ウアチパ(ウアチパの丘=ペルーの首都リマの貧困地区)」による路上演劇。10年前に亡くなったメンバーの一人、沖縄にルーツをもつペルー人のことを思い創ったという作品だ。観客も演技に巻き込み、笑いで包みながら、「エル・プエブロ・ウニド・ハマス・セラ・ベンシド(団結した民衆は決して負けない)」と不屈の民の力を表現していく。

 「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」(青島正晴代表)も区内の「おきなわ物産センター」の協力を得て出店し、「誰もが安心して暮らせる鶴見にしていきましょう」と呼びかけ。不登校の子どもたちの居場所「フリースペースたんぽぽ」も店を出して支援を訴えた。

 青島みのりさんは実行委員長を務めた感想をこう語る。「沖縄のこと、国際的なことを両方テーマにした祭りは鶴見でもあまりなかった。歌舞団としても鶴見としても今までになかった第一歩が踏み出せた。ストリートでお客さんと一緒につくる大衆演劇のスタイルもぜひ学びたい」



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