2019年08月09日 1587号

【みる…よむサナテレビ(527) 2019年7月27日配信 イラク平和テレビ局in Japan/戦争の犠牲になるのは市民だ 米国、イラクの対立に反対する】

 米国のトランプ政権はイラン核合意から離脱し、空母部隊をペルシャ湾に派遣するなど挑発を強めている。イランもウラン濃縮や軍事的対抗を進めている。2019年5月、サナテレビは米国、イラン双方の介入が続くイラクで市民がこの問題をどう考えているのか、インタビューした。

 今、米国の呼びかけに呼応して、イギリスなど西欧諸国、日本、韓国などがペルシャ湾や紅海近辺への「有志連合軍」派兵を狙っている。実際に戦争が始まったら、一体どうなるのか。

 市民活動家は「イラクがイランと米国の介入と対立に苦しみ続ける」と現在の対立を非常に心配する。何よりも「イラクは2003年に米軍によって破壊された」のであり、戦争の被害を身をもって体験している。米軍のイラク侵攻によって、150万人とも200万人とも言われるイラク市民が命を失った。

 別の市民は「イラクは約1200`のイランとの国境があり、宗教的つながりや兄弟、親戚の関係もある」と指摘する。戦争となれば、米軍はイラク国内の基地からも出撃するだろう。イランが支えるイラク国内のシーア派イスラム主義勢力が軍事攻撃を仕掛けるだろう。そうなれば、一番の犠牲者はイランでもイラクでも市民なのだ。イラク市民はまさに戦場のまっただ中に置かれてしまう。

 この市民は「イラクが考えるべきなのは、問題を解決することであり、調停者になることだ」と主張する。

戦争の回避こそ必要

 最後に登場する社会評論家も「イラクは米国とイランという2つの占領者の間に巻き込まれてはなりません」と訴える。市民の力で対立と戦争を回避する努力こそ必要だと実感させられる。こうした考え方は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」という日本国憲法の平和主義と共通する。

 安倍政権はペルシャ湾での対立を利用して自衛隊派兵、武力行使を狙う。憲法9条改悪の実質化を企んでいる。アメリカのトランプ政権の軍事挑発にもイランの軍事対抗措置にも反対するイラクとイランの市民・労働者と連帯して、戦争策動を止めることが日本の私たちに問われている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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