2019年08月16・23日 1588号

【1588号主張 東アジア平和を破壊する安倍報復制裁 日韓民衆の連帯で跳ね返す】

歴史に逆行する閣議決定

 安倍政権は8月2日、「安全保障上の輸出管理」で優遇措置を取る「ホワイト国」からの韓国除外を閣議決定した。ホワイト国の指定取消は初めてで、7月4日の輸出管理厳格化に続く経済制裁だ。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は同日、「大法院の強制徴用判決に対する明白な貿易報復」「両国関係に対する重大な挑戦」と抗議し、撤回を要求した。菅義偉(よしひで)官房長官は「韓国の輸出管理制度や運用の不十分な点があることを踏まえた措置」と言うが(8/2)、具体的な事実は何も示していない。

 事態の根本は、安倍晋三首相が「徴用工の問題で、国と国との約束を守れない国であれば貿易管理をちゃんと守れないだろうと思うのは当然」(7/7)と述べたように、元徴用工大法院判決を巡る韓国政府の対応への意図的な報復措置であることは明らかだ。

 安倍は、日本が犯した侵略戦争・植民地支配の責任逃れをもくろみ、朝鮮半島和平を妨害することで改憲戦争路線の推進を狙う。被害者への個人補償を拒み、東アジア平和構築の流れに逆行する暴挙を許してはならない。即刻経済制裁を撤回すべきだ。

改憲と排外主義は一体

 安倍政権があおる排外主義の根深さ、広がりはきわめて危険な段階にある。ホワイト国除外について4万件のパブリックコメントが寄せられ、95%が賛成意見だったとされる。半導体材料の輸出規制強化についての世論調査(7/28日経)では「支持」(58%)が「不支持」(20%)の3倍にのぼった。立憲民主党・枝野幸男代表も「日本政府の見解が基本的には、おおむね正しいと思う」と述べ、反韓国扇動を後押しする始末だ(7/31)。

 愛知県主催の国際芸術祭では、日本軍「慰安婦」を表現した少女像などの展示に不当な誹謗中傷が殺到した。9条改憲論者で南京大虐殺をも否定する河村たかし名古屋市長は展示中止を要請。菅官房長官も芸術祭への補助金停止を匂わせて圧力をかけた。ガソリン放火予告のファクスや、恫喝・脅迫の電話、県職員の個人名をさらすネット拡散など悪質な妨害攻撃が加えられ、企画展はわずか3日で中止に追い込まれた。

 安倍は敵を作り、改憲・軍拡・生活破壊に憤る市民の批判を封じようとしている。政府・メディアが蔓延させる差別・排外主義の根絶のためには、民衆レベルの日韓連帯を広げ、市民・労働者への働きかけを強めて世論を変える闘いが必要だ。

日韓市民連帯の共同行動へ

 韓国の市民・労働者は、「安倍政権糾弾キャンドルデモ」を朴槿恵(パククネ)弾劾の闘いと同様の布陣で開始した。参加者は5千人(7/27)、1万5千人(8/3)と拡大し、8月10日、15日と続く。

 2019ZENKOin東京(第49回平和と民主主義をめざす全国交歓会、7/26〜7/28)は、「安倍9条改憲反対、韓国への輸出規制反対、日韓政府のホルムズ海峡派兵反対」を掲げ、8月15日を中心に韓国・代案文化連帯らとともに日韓民衆共同行動に取り組むことを決議した。この呼びかけに応え、全国で安倍政権糾弾行動を展開しよう。今こそ日韓市民・労働者の連帯を強め、東アジアの平和を破壊する安倍報復制裁攻撃を跳ね返そう。

   (8月4日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS