2019年08月16・23日 1588号

【全日建連帯労組 関西生コン支部不当弾圧 正当な活動を逮捕・勾留 労働法なき社会を狙う】

 昨年8月から始まった関西各府県警による全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)関西地区生コン支部(関生支部)に対する不当弾圧攻撃がエスカレートしている。

 関生支部は、セメントやコンクリート業界で働く人が加盟する産業別労働組合だ。昨年から現在まで同支部の組合員・組合役員延べ60人以上が逮捕・勾留された。提携する協同組合の組合員も7人が逮捕されている。逮捕容疑はいずれも恐喝未遂や威力業務妨害だ。これに伴い、排外主義者たちがYouTubeやブログで批判を繰り広げ、“関生は犯罪集団”というイメージを執ように流布している。

大手ゼネコンの思惑

 しかし、関生支部や関生支部と提携する協同組合の活動はまったく正当なものである。

 2017年、滋賀県東近江市で清涼飲料水メーカーが倉庫建設の工事を実施した。工事を請け負ったのは、大和ハウス工業の子会社である大手ゼネコンのフジタ。同社に対し、生コンクリートの製造業者が共同受注・共同販売を行う「湖東生コン協同組合」(滋賀県東近江市)は、協同組合に加盟する業者からコンクリートを買うよう求めた。滋賀県警はこの組合の行動を「恐喝未遂」とした。だが、これは協同組合の正当な活動だ。協同組合が組合に加盟する企業から購入してほしいと求めることは、営業活動の自由の範囲で刑事罰に問われることではない。関生支部と提携する協同組合を狙い打ちした弾圧といえる。

 中小企業等協同組合法では、規模の小さな事業者が協同組合を結成し、共同で購入・生産・販売を行うことを認めている。建設会社がより安いコンクリートを購入しようとするのは当然だが、コンクリートの値崩れを防ぐためには、協同組合による活動が不可欠になる。組合に加盟しない事業者が価格を下げてゼネコンと取引すれば、価格競争が激化し、粗悪な原材料を混ぜたり、加水したりした低品質のコンクリートが出回る危険がある。また、こうした価格競争は従業員の労働条件悪化にもつながる。それを防ぐためにも、事業者が協同組合を結成し、足並みを揃えて価格交渉をする必要がある。

 協同組合はあくまでも中小企業が結成する組織で、関生は労働組合。両者は、生コンクリート産業の健全化のために協力して活動してきた。これを脅威に感じた大手ゼネコンの思惑が今回の刑事弾圧の背後にある。コンクリートの価格を安く抑えたいゼネコンが、関生支部の活動を嫌悪し、国家権力を動かしている。

安倍直轄の組合つぶし

 弾圧攻撃は関生支部だけを標的にしたものではない。

 関生支部が2017年12月、近畿一帯で実施したストライキ闘争の要求は、セメント輸送や生コン輸送の運賃を引き上げることだった。大阪府警はストライキに関わった組合員を「威力業務妨害」の容疑で逮捕した。

 憲法28条は、労働者の権利として「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」を認めている。労働組合を作って経営者と交渉したり、ストライキしたりする権利が保障されている。だから本来、ストライキで刑事罰に問われることはないし、損害賠償を請求されることもない。

 しかし、警察権力は関生支部を民事介入暴力集団と規定し、団体交渉を恐喝・強要、ストライキを恐喝・威力業務妨害として刑事弾圧の対象にしている。

 京都府の加茂生コン事件では、日々雇用だった生コン運転手が団交を申し入れ正社員化を要求したことが「不当な要求」とされ、子どもの保育園に提出する「就労証明書」に押印するよう求めたことが「強要未遂」とされている。この事件は、会社が団交を拒否して大阪府労働委員会で係争中であるところに、京都府警が介入した。裁判所も警察・検察の言い分を丸呑みし当該労働者の勾留決定を行った。

 警察や国家が労働運動に介入し、憲法で保障されている労働者の基本的人権を全面的に否定している。これは、すべての労働組合の息の根を止め、労働法のない社会を作るための攻撃である。

 裏でうごめいているのは警察庁組織犯罪対策部だ。安倍政権直轄の労働組合運動つぶしを絶対に許してはならない。



 
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