2019年08月16・23日 1588号

【「いつでも、どこでも」人権尊重を/〜戦争とカネ儲けの機関にするな/一人ひとりとの対話から〜/ZENKO分科会】

 2019ZENKOin東京のテーマの一つは「安倍政権の横暴から市民生活を守り、地域に民主主義を取り戻す」。地域変革への対抗軸を明確にし、市民一人ひとりと対話を重ねることの重要性が強調された。

 第3分科会は「平和と市民自治のまち大津をともにつくる会」中川哲也さんの基調提起で始まった。

 安倍政権の自治体政策は、グローバル資本の利潤拡大のための戦争国家づくりへ自治体を国の下請け機関にするもの。総務相主催の研究会が昨年発表した「自治体戦略2040構想」は、生活と人権を守る施策の権限を自治体から奪い、公共性放棄・民営化を推進する統治機構へと改編することを狙う。

 これに対し、自治体の公的責任を明確にした日常生活圏の整備=福祉・医療・保育等の施設を直営で拡充し、安心して住み続けられる地域をつくること、そのための根本的な対抗軸となる政策を打ち立てていくことが必要だ。中川さんはこう呼びかけた。

1万5千軒のドアを叩く

 この春、地方選を闘った各地域から報告が続く。

 「全戸訪問の対話活動で新たな仲間を結集し、『山川通信』読者を大きく増やした」と語るのは、大阪市の山川よしやすさん。「大阪都構想」と対決し、「旧区役所跡地を売り払うな」「水道民営化反対」「介護保険料を引き下げろ」などの要求を集めて「大阪市ワンデーアクション」の取り組みも始めている。

 横浜市の青島正晴さんも「1年半で1万5千軒のドアをたたき、4400人の『青島通信』読者を獲得した。若者手当創設や中学校給食実施、放射能汚染土撤去、バリアフリー化推進など要求課題ごとにチームをつくり、市政変革の政策を具体化していきたい」と意欲を燃やす。

 大阪・枚方(ひらかた)市の井上由美さんは「民間主導で駅前の市有地に超高層マンションを建てる再開発計画が進む。図書館への指定管理者制度導入に反対してきたが、非正規職員の司書はまさにワーキングプア」と懸念する。大津市の中川さんは「支所削減と保育園・病院・水道の民営化に反対する新署名を開始する」と今後の方針を示した。

税の再配分機能の強化を

 2期目の当選を果たした土屋のりこ東京・足立区議は「税の再配分機能の強化を!政策提言を実現する実行力を!」と題して報告。「看取(みと)り期まで対応する小規模な地域の住まい支援事業」の実施など1期目の画期的な成果の上に、▽「貧困」を可視化し家庭への経済的な支援策を拡充▽ソウル市に学び「いつでも、どこでも、誰でも」人権が尊重される足立へ、区民による「自治」を強化▽市民が行政をリードし、地域の中に「陣地」をつくる―等、市民派改革を「もっと前へ」進める方向性を明らかにした。

 中でも参加者の強い関心を呼んだのが、発足したばかりの「フードパントリーネットワークあだち」。一人親家庭など食品支援が必要な人たちに食品を提供する。行政がやるべきことを市民自らが行い、「私が食べるのはパンの耳でも、子どもにはお腹(なか)いっぱい食べさせたい」という母親の切実な声を行政に届けていく、という。

 「平和と民主主義をともにつくる会・東京」事務局の石島孝さんは、足立区議選中掲げた「安倍政治からあなたを守る」政策課題に市民とともに取り組み、地域変革を達成したいと語った。

 また、東京・日野市議の有賀精一さんは元副市長のハラスメント握りつぶし・二重報酬受け取り問題の徹底追及を通して市政民主化を進めていく決意を、大阪・茨木市の山本よし子さんは来年4月に行われる市議補選に立候補する決意を、それぞれ表明。

 討議では、「新自由主義政策で貧困が広がる中、根源的な要求を組織し、当事者とともに強力な運動をつくろう」「若者向けの政策が弱い。単身青年の公営住宅入居条件を下げろ、の要求を」「“要望ありませんか”では“ないよ”で終わる。こちらから課題を投げかけ、相手と会話を続けることが大切」などの意見が出された。

 「低投票率は若い人が社会の持続性に関心を失い、目先のことしか考えなくなった表れ。公民教育が必要」「“とりあえず食える”“安定を望む”と言う人はいる。政治によって自分たちの生活を変えられることを提示し、刺激を与えたい」と議論は白熱しかけたが、時間切れとなった。



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