2019年08月30日 1589号

【青空のびのびプロジェクト 避難者とともに子育て交流 一緒に解決できる居場所作りへ】

 8月10〜12日、福島原発事故からの避難者親子を交えたキャンプ「2019青空のびのびプロジェクト」が京都府内で行われ、親たちにとっても充実した交流となった。運営を担った子ども全国交歓会関西事務局の松昌子さんから報告が寄せられた。

 福島事故の翌年2012年に始めた「青空のびのびプロジェクト」も今年で8回目です。京田辺市野外活動センター「竜王こどもの王国」にサポーターを含めてのべ62人が集まりました。

 スイカ割、流しそうめん、キャンプファイヤー、ハイキングなど、野外活動はほぼお決まりですが、「いまだに道を覚えてなくて、今年はみんなで迷子になってしまった(笑)」と楽しい感想がいっぱいでした。

 避難者は5家族16人。4回目、5回目など、何回も参加されている家族ばかりで、子どもの成長をみんなで確認する場にもなりました。福島県から京都に避難しているあやかさんは、高3の今年もサポーターとして来てくれました。ボランティアサークルの大学生は「このキャンプで子どもに関わる仕事をしたいと思い教職をめざしている」と話してくれました。

避難否定され不登校に

 恒例の医療問題研究会の医師の講演会は今年はできなかったのですが、親たち13人で交流会を持ちました。

 「他人ごとではなくすべての人が身近に感じるべきこと。自分にできることは何か、子どもたちにどのように伝えていくべきか考える機会になった」。そんなふうに、避難された人の生の声を初めて聞いたお母さんがいます。

 避難者からは「子どもが小学校の授業で放射能のことを習った際、避難している自分を否定しているかのように感じ不登校になった」との話も。初めて参加したお母さんから「子どもが発達障害と言われて」と子育ての悩みも出されました。

 差別選別を生み出す学校教育のありかた、子どもを豊かに育む土壌がない今の社会が、改めて浮き彫りになりました。子育ての話をする場を日常的に作っていくことが必要です。

 途中参加だった親子から「来年も参加したい、親子広場も、3月の交歓会(大阪)も参加したい」と、感想にありました。ありのままを受け入れる空気の中で友だちと遊びこむこと、親も友だちをつくることが求められているのかなと感じました。月に1度開催している子育て交流の昼食会(つくる・しゃべる・食べる〜親子広場=jを、もっと地域とつながり、子育ての困難と向き合って一緒に解決できる居場所としていくためにも、出会いを広げていけたらと思います。

若者参加につなげたい

 また、キャンプの中で「避難者の話を聞く≠アとをもっとアピールして、大学生や若者の参加につなげられたら」という避難者の意見がありました。楽しく仲よくなってきた子どもたちの関係を通して、避難者の子ども自身の話を聞くプログラムも実現できるのでは、と考えています。

 避難者の思いを受けとめようと、医療問題研究会の医師たちとともに16回目の避難者子ども健康相談会おおさか(9月15日(日)13:30〜15:00〉、大阪・ドーンセンター)を行います。午前にはセミナーがあり、どなたでも参加できます、ぜひご参加ください。





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