2019年09月13日 1591号

【1591号主張 排外主義は安倍改憲と一体 憲法実現から根本的変革へ】

排外主義の暴走

 8月28日、韓国をいわゆる「ホワイト国」から除外する輸出貿易管理令の「改正」政令が発効した。安倍政権による経済制裁発動だ。

 政権トップが自らあおり立て、撒き散らす排外主義の影響で、日本中に韓国に対しては何を言っても、してもよい≠ニのムードが作られている。少しでも韓国に対し友好的な態度をとれば「反日勢力」としてあぶり出され、徹底的なバッシングが行われる。歴史を改ざんした側の外相が、侵略と植民地支配の被害者である韓国に向かって「歴史は書き換えられない」(8/27)と言い放つ。加害者が厚かましくもよく口にできたものだ。

 9月1日、関東大震災から96年を迎えた。小池都知事は恒例だった朝鮮人虐殺被害者への知事追悼文を3年連続で拒否した。ネットでは「虐殺はなかった」という歴史否定デマが急速に拡大している。朝鮮学校無償化を巡る裁判で最高裁は無償化除外を違法ではないとした高裁の不当判決を追認した。排外主義は司法にまで広がっている。

人権否定、大軍拡

 8月30日、2020年度政府予算の概算要求が出揃った。軍事費は1・2%増の5兆3223億円。8年連続の増加で過去最大だ。FMS(対外有償軍事援助)による米国製武器「爆買い」に5013億円、イージス・アショア関連経費122億円。国土強靱化や東京五輪に名を借りたゼネコンへの大盤振る舞いなどやりたい放題だ。

 一方、高齢化が進み社会保障費の増大は避けられないにもかかわらず、伸び率は昨年を下回った。保育所不足による待機児童は減らず、労働者の生活悪化、地方疲弊は止まらない。消費税増税も強行しようとしている。市民負担を増やし、99%を切り捨て、グローバル資本がボロ儲けする人権否定、大軍拡予算だ。

 安倍は、こうした政策が全く不人気だと知っており、実態が露呈し市民の怒りが爆発することを何より恐れる。だからこそ韓国叩きで「敵」を作り、市民の不満を外に向ける。政府に支持がないときは外に敵を作れ≠ヘ支配者の使い古された延命術だ。

 だが、排外主義で安倍に対する怒りを封じきれないことは、野党共闘候補が勝利した埼玉県知事選(8/25投開票)の結果にも示されている。

対話で変革の道示そう

 この危機的な傾向に抗する市民の運動も強まりつつある。8月15日を前後して多くの日韓市民共同行動が行われ、日韓平和市民共同宣言賛同も広がった。8月31日、「韓国は敵なのか」集会が都内で開催。韓国敵視政策中止と対話が呼びかけられた。戦争は対話の拒否から始まる。日韓市民が連帯を作り上げ、排外主義に別れを告げるときだ。

 排外主義に対抗するには国内世論を変えることが欠かせない。地域の隅々からの対話で、排外扇動批判を強め、市民生活破壊の実情と将来への不安、元凶であるアベ政治への怒りをともにする必要がある。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が準備している安倍退陣署名で、軍事費ではなく生活、社会保障に予算を回せと訴えよう。未来のないグローバル資本主義への対案として、憲法実現、民主主義的社会主義の道を示そう。

   (9月1日)
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