2019年09月20日 1592号

【1592号主張 戦闘機などいらない 生活に回せ 対話を広げ根本的政策転換】

大企業・富裕層課税が先だ

 10月に消費税が8%から10%に引き上げられようとしている。消費増税は市民・労働者の家計の負担を増やし、低所得層ほど負担率は重くなる。負担増は命と暮らしを直撃し、消費停滞と内需冷え込みで経済全体の悪化につながる。9月7〜8日のJNN世論調査でも、消費税率10%への引き上げには、反対52%、賛成39%だ。増税は中止し、消費税は廃止すべきである。

 課税対象は富の独占者だ。

 2018年度法人企業統計(9/2財務省発表)では、企業が蓄えた内部留保にあたる利益剰余金が約463兆円(金融、保険業を含めば562兆円)となり、過去最高を更新。この4年間で100兆円以上の増加だ。ところが、税負担率はソニーが5%弱など「大手企業ほど負担が低い」(8/23日経)実態があり、しかも大企業は消費税をめぐり多額の還付金を手にする。

 また、野村総研の推計では、2017年の金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、5億円以上の「超富裕層」を合わせると過去最高の約127万世帯。所得の大半は税率の低い株売買や配当など金融取引による。

 一方、増税の被害を受ける労働者の実質賃金は低下し続けている。社会保障や教育の充実などの財源確保には、まず、アベノミクスの下で富を集中させた大企業と富裕層への課税を強化する必要がある。

市民に必要ない大軍拡

 8月30日、防衛省が公表した2020年度概算要求は、過去最大の5兆3223億円。第2次安倍政権発足後、7年連続増だ。イージスアショア122億円、最新鋭F35B戦闘機6機分846億円を要求し、そのF35B発着艦のために実質的な空母「いずも」の改修費用に31億円を計上する。大軍拡は、イラン危機を口実とした自衛隊海外派兵、辺野古新基地強行、憲法9条改悪の策動と一体であり、市民には何の必要もない。

 F35B戦闘機2機分をやめるだけでも、今年度保育待機児童1万7千人分の保育所を作れる。戦争国家作りのための軍事費を削り、社会保障・教育・労働分野などに予算を回し、貧困問題の解決に取り組まなければならない。

 同時に、韓国への敵対感情や排外主義を煽るのではなく、日本政府は、報復制裁を即時中止し、元徴用工問題の韓国大法院判決に基づく解決をはじめに被害者への謝罪と補償を進めなければならない。日韓民衆の連帯に支えられた東アジアの平和・互恵関係の構築が求められている。

「軍事費より社会保障」署名を

 根本的な政策転換を実現するために重要なのは市民の力だ。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、「豊かな市民生活は実現できる!軍事費よりも社会保障を!安倍政権の退陣を求める署名」を呼びかけている。

 アメリカ民主主義的社会主義者(DSA)は、「メディケア・フォー・オール」(すべての人への公的医療保険)をはじめ市民のための変革を訴え、地域の隅々への戸別訪問などで支持を広げた。日本でも、ZENKOの新署名や安倍9条改憲反対3000万署名などによる地域からの対話を通じて根本的変革への支持を拡大し、市民と世論の力で安倍政権の退陣へとつなげよう。

   (9月7日)
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