2019年09月27日 1593号

【怒りを結集した県民大行動 辺野古埋め立ての攻防は正念場 現場に行く 本土で市民に訴える】

 「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で毎月第1土曜日に開催する「県民大行動」。9月7日の大行動は、台風13号の影響でときおり強い風雨がふきつける中、約700人の市民が県内外から結集した。

台風直撃の地

 太平洋と東シナ海に囲まれた沖縄は、台風の直撃が多い。台風10号と11号で7、8月のほとんど、沖縄防衛局は埋め立て工事を中止せざるをえなかった。その度にフロート(浮具)やオイルフェンス(油防止膜)などを撤去しなければならない。

 誰もが感じることだが、太平洋に向かって三角の岬を突き出したこの辺野古の地で埋め立て工事を強行するなど、一体何を考えているのか。毎年のように台風、暴風雨、高波が襲う。その点でも辺野古新基地建設工事は、大自然の猛威を無視した無謀な計画だ。

 県民大行動の司会運営を務めた沖縄平和運動センター議長・山城博治さんは、台風前にはテント村でもテント、ポール、ベンチなどを撤収し、台風が過ぎ去れば全員で再び組み立てなおす作業が今年は何度も行われたと発言。スタッフへのねぎらいを呼びかけ、大きな拍手が送られた。

建設ありきの技術検討委

 県民大行動の集会は午前11時からだが、先立って9時前から前段集会が行われる。その司会も山城さんだ。この場に来ると、琉球新報や沖縄タイムスで報じられている問題の当事者、関係者から必ず詳しい報告がある。新基地建設のみならずさまざまな出来事に対しての県民の怒りに触れることができる。

 土木技師で沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは、沖縄防衛局が設置した「技術検討委員会」についてふれた。大浦湾内の軟弱地盤改良工事が必要となったため、政府の立場で「建設ありき」の結論を出し、防衛局が県に設計概要変更申請を行う際に圧力をかける狙いだ。8人の委員のほとんどが元運輸省の技術研究所出身や防衛大学教授、埋め立てに使用するケーソン(コンクリートの箱)を製造する会社ジェコスの取締役など、メンバーのひどさにはあきれて物も言えない。

 北上田さんはさらに、国からのサンゴ移植申請について県は判断保留しているが、地盤改良工事の設計概要申請時でも判断保留を続けることが大事だと強調した。「国は業を煮やして、裁判に出てくるだろう。裁判の場で地盤改良工事の必要性について争うことになる。県外からの土砂搬入の問題もある。少なくとも完成までに20年以上もかかる建設で本当に普天間の危険性の除去なのか、辺野古にこだわることで普天間の危険性を放置する国自体の責任が問われる。これから本当の正念場、みんなで諦めずに闘いましょう」と訴えた。

国会でも、市町村でも

 伊波洋一参院議員は、岩ズリ(埋め立て用土砂)を提供している琉球セメントが岩ズリを納品する認可を得ずに販売している可能性があること、宮古島市で産業廃棄物訴訟の市民を逆に名誉棄損で訴えるという宮古島市役所のひどいスラップ訴訟、県内の3図書館が令状なしで警察に市民の図書貸し出し・閲覧の情報を提供していたことなど、県内で行われている違法行為や民衆弾圧への怒りを語り、国会でも追及する決意を示した。

 新しく衆院議員になったばかりの屋良朝博さんは、ワシントン訪問を報告。米国国防予算の大枠を決める国防権限法で見直しが進められている800の海外米軍基地の中で、沖縄の基地問題はトップ10に位置づけられていることを紹介した。

 そのほか、統一連代表の中村司さんは、活断層も指摘される辺野古で震度6の最大震度が想定されているにもかかわらず、震度4以上は起らないという防衛省の報告結果に怒りをぶつけた。本部町島ぐるみ会議の町会議員・仲宗根須磨子さんは、連日朝から晩まで炎天下で続く塩川港の土砂搬出反対の闘いについて、「民間警備員200人に対して、こちらは7〜8人しかいない。月曜日は普天間とうるま市の島ぐるみ会議が来てくれるが、火曜日から金曜日まで本当にきつい。応援に来てほしい」と訴えた。

民意がここに総結集

 キャンプ・シュワブゲート前の県民大行動では、約3時間にわたって沖縄県民が何に怒り、何と闘っているのかが示され、また、今後も闘い続ける決意が直接感じられる。民衆の闘いの現場だ。何としても辺野古新基地建設を阻止しようとの沖縄の民意がここに総結集している。

 沖縄の闘いの現場に引き続き足を運ぶとともに、本土でほとんど知らされていない辺野古新基地建設問題を街頭や戸別訪問などあらゆる場で一人ひとりの市民に訴えていくことが何より重要だ。(N)

◆次回ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)沖縄参加団 10月4〜6日
◆辺野古連続5日間大人行動 10月21〜25日(ZENKO派遣団は21〜23日に参加)





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