2019年09月27日 1593号

【安倍極右内閣がひどすぎる/改憲断行へイエスマンを招集】

 9月11日に発足した第4次安倍再改造内閣。安倍晋三首相の側近重用が目立つことから「極右おともだち内閣」や「不良在庫一掃内閣」などと揶揄(やゆ)されているが、最適といえるネーミングは「側用人(そばようにん)(注)内閣」(9/13プレジデントオンライン)であろう。

 というのも、「首相の黒子」として官僚との折衝や与野党対応などにあたる官房副長官の経験者が新内閣には3人いる(西村康稔・経済再生相、萩生田光一・文科相、加藤勝信・厚労相)。首相補佐官経験者も3人いる(河井克行・法相、江藤拓・農相、衛藤晟一・一億総活躍相)。安倍にしてみれば、自分に絶対忠誠を示すイエスマンで内閣を固め、「悲願の憲法改正」に邁進したいというわけだ。

加計疑惑の張本人

 居並ぶ安倍イエスマンの中でも「側近中の側近」と言えるのが、文科相に起用された萩生田光一である。萩生田は安倍の忠犬として、歴史教科書攻撃や報道圧力の先頭に立ってきた。最近では、国会を「憲法改正シフト」に切り替えるために衆議院議長の首をすげかえることもあると発言し、物議を醸した。

 その萩生田は加計学園問題のキーパーソンでもある。萩生田は2009年総選挙で落選した後、加計学園が経営する千葉科学大学危機管理学部で客員教授をしていた。安倍首相の「腹心の友」である加計孝太郎理事長に面倒をみてもらっていたということだ。そして獣医学部新設問題では、文科省に対し「総理は“平成30年4月開学”とおしりを切っていた」などと伝えていたことが明らかになっている。



 つまり、加計学園の利害関係者であり、文科省に対して行政を歪める圧力を加えた人物を、安倍は文部科学大臣に抜擢したのである。

 側用人大臣の素顔をあと2人紹介しよう。

 衛藤晟一は日本会議直系の極右政治家である。国会議員としては安倍の1期先輩にあたり、宗教団体「生長の家」仕込みの極右思想を安倍に指南したと言われる。河井克行は首相補佐官時代に米国政界へのロビー活動を担当。安倍応援団からは、日本軍「慰安婦」問題の火消しに尽力したと評価されている。

外交の司令塔に謀略男

 国家安全保障局の局長人事も問題である。安全保障や軍事・外交政策の重要方針を決める国家安全保障会議。その事務組織として内閣官房に置かれている国家安全保障局の新局長に、北村滋・前内閣情報官が起用されたのだ。

 北村は警視庁公安部の出身。第1次安倍政権では首相補佐官を務めていた。その頃から安倍に気に入られ、第2次政権では内閣情報調査室の責任者として世論工作を担当。公安情報を駆使してスキャンダル攻撃を仕掛けるなど、野党叩きや安倍の政敵つぶしに暗躍してきた。

 そんな官邸の謀略機関の親玉を安倍は「安保・外交の司令塔」の事務方トップの座に据えた。戦争政策や改憲推進のために謀略事件をでっちあげるつもりなのかと空恐ろしくなる。

   *  *  *

 テレビのワイドショー番組は今、韓国の法相人事(いわゆるタマネギ男疑惑)の話題で持ち切りだ。「それでも法治国家か」「日本ではありえない」など、出演者は韓国叩きに励んでいる。だが、この日本はどうなのだ。問題ならぬ問題外大臣のオンパレードではないか。小泉進次郎の入閣に浮かれ、隠蔽に手を貸すメディアの罪は重い。

(注)側用人とは、江戸時代の将軍、藩主の側近の役職。「側用人政治」など政治私物化の代名詞として使われる。

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