2019年09月27日 1593号

【原発賠償京都訴訟控訴審弁論 国際人権法適用も主張】

 9月10日大阪高裁で、原発賠償京都訴訟・控訴審第4回口頭弁論が開かれた。

 開廷の2時間前、原告と支援者約15人が大阪市役所近くで街頭宣伝行動。その後、原告は裁判所まで入廷行進し、支援者の声援を受けて裁判所に入った。なお続く猛暑もあり、傍聴は前回を下回ったが抽選となり大法廷満杯に。

 原告側プレゼンは3本。1つは予見可能性に関して。フリージャーナリスト木野龍逸さんが情報公開で入手した資料に基づき、東京電力や日本原電だけでなく国の機関である日本原子力研究開発機構も地震の長期評価を確定論(必ず来る)としてとらえて津波を計算、その信用性は電気事業者らが無視できないほど高かった、と主張した。

 2つめは、国際機関が日本政府の原発事故後の対応をどう見ているか。人権条約の義務履行を確保するために人権条約機関が置かれており、日本も締約国である国際人権規約の社会権規約委員会、自由権規約委員会などが20_シーベルト基準による避難解除に懸念を表明し、児童への「包括的かつ長期の健康診断の実施」などを勧告している、と指摘。

 3つめは、国際人権法と裁判所の関係について。日本が批准した条約は公布手続きを経るだけで国内的効力を持つ。裁判官も条約の規定に基づいて国内法を解釈・適用することが求められる、と指摘した。

 報告集会では、9月19日に判決を迎える東電刑事裁判に連帯するため、短編映画『東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故』を上映。弁護団からは現在取り組んでいる原告へのアンケート調査等について報告があり、9人の原告は近況や最近の心境について発言した。最後にあいさつに立った共同代表の福島敦子さんは「裁判では賠償金しかとれないが、汚染地域に在住している人の権利なども盛り込んだ統一要求を近畿から作り上げていきたい」と述べた。

 次回期日は、12月12日(木)14時30分、大阪高裁。

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