2021年10月01日 1692号

【沖縄遺骨問題意見交換会 防衛省は戦没者遺骨土砂を海に捨てるな 3万3千の賛同署名も提出】

 「戦没者遺骨土砂を海に捨てるな」と9月14日、衆院第一議員会館で市民・宗教者・遺族・衆参両院議員ら約40人が集まり厚生労働省・外務省・防衛省との意見交換会を行った。

 遺骨のDNA鑑定に加え安定同位体比検査の必要性を共有するため、戦没者遺骨鑑定を研究する厚労省社会援護局の染田英利さんの報告を聞く。染田さんは「歯や骨などの分析によって、大陸と列島出身の区分、食習慣の特徴、年代などがわかる」と説明。沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤーの具志堅隆松さんが「遺家族の不明な方の遺骨は、せめてその故郷に返してあげたいが、どうか」と問うと、「国単位での特定は可能だが、国内での地域の特定は難しい。研究中ではある」と答えた。

 具志堅さんは、会場で沖縄南部の土を広げ、その中から頭蓋骨や物品のかけらを採り上げた。「この土は元の場所に戻す。採取したから後は開発地にしてよいわけではない。その地に戦争の証拠があったことを子どもたちの世代に残していく意味がある」と訴えた。

 遺族の発言はオンラインで各地から行われた。

 愛知県の遺族は海没船遺骨の収集について「船がどこに沈んでいるのか場所は明確にわかっているのに、なぜ採取に動かないのか」と怒った。10月からはDNA鑑定申請の受け付けが始まる。「検体が採取されればやる」という厚労省の態度に、「私たちも申請する。まず書類を受け取ってから、船の引き揚げなど調査すればいいではないか」といら立ちを見せた。

 韓国から太平洋戦争被害者補償推進協議会の李熙子(イヒジャ)共同代表は「2013年以来お願いしてきたのに今まで何をやってきたのか」と怒りを表明。進行役の上田慶司さんが「韓国遺族も高齢化が進み時間がない。しかし、『鑑定は日本人を先にして韓国は後』とはいったい何事か」と問いただすが、厚労省は逃げるのみ。

 最後に、具志堅さんが「遺骨土砂の埋め立て計画は戦没者、遺族、国民への裏切り。あまりに理不尽、非人道的で撤回しかない。自民総裁選候補に公開質問状を出す。自治体意見書などさらに全国から声を上げる」と改めて強調。遺骨を含む土砂を基地建設に使わせない¥@教者共同声明に賛同する3万3千の署名、戦没者遺族DNA鑑定集団申請名簿などが提出された。





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