2022年12月09日 1751号

【議会を変える 市民と変える/京都府向日市議 杉谷伸夫/介護保険大改悪 何としても止めなければ】

 介護保険制度の大改悪が行われようとしている。

 主なものを列記すると、(1)利用者負担を2倍化(現在原則1割⇒2割)(2)要介護1・2の訪問介護・通所介護を介護保険給付から外す(3)ケアプラン(介護サービス計画)作成の有料化(4)老健施設などの相部屋(多床室)の有料化(5)保険料の納付年齢(現在40歳以上)の引き下げと利用年齢(現在65歳以上)の引き上げ―等々。

 要介護1・2は、要介護者の半分以上だ。すでに保険給付から外された要支援1・2を加えると、本来の対象者の約8割が介護保険給付から外されることになる。これでは介護保険制度の崩壊だ。

 驚くばかりの内容だが、市民の認知度や関心が高いとは言えない。「介護」を身近に経験した者でないと、介護の問題は「他人事」に感じることと、介護保険制度が複雑でわかりにくいためだろう。

 そこで、長年高齢の親を介護しながら、自身も介護に関わる資格を取り、ライフワークとして取り組んでいる地元の方を講師に「介護保険の大改悪で介護はどうなる?」をテーマに学習会を行った。講師の方は、30歳代から現在まで、姑や自身の親の遠距離介護、その後在宅介護と30年以上にわたって体験した介護の現実を話された。介護に追われる人生だが、公的な介護制度がなければ自分の人生は成り立たなかったと言う。この大改悪が行われればどうなるのか。介護保険の利用明細を示しながら説明していただいた。利用者負担が2倍化されたらと思うと恐ろしくなる。

 参加者から、「要支援1・2が介護保険給付から外れるとは、どういうことか?」という質問が出た。介護保険ではなく市町村が行う事業に任されるので、有資格者のサービスからボランティアのサービスに変えられるなど、市町村の財政事情によって必要なサービスが受けられなくなることが述べられた。

 介護保険制度で、介護が措置からサービスにされたことの功罪についても議論が及んだ。この点について私は「議会では、保険料について関心が集中する。サービスを充実すればその財源が必要となるが、その半分は保険料でまかなう仕組みだ。保険料を引き上げないために、介護を抑制する圧力となっている」と構造的な問題を述べた。

 この大改悪は何としても止めなければならない。この日の学習会をスタートにしたい。
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